こんにちは。
毎年2月頃になると、なんだか空気が重たく感じませんか?
カレンダーを見るたびに「あぁ、今年もこの季節が来てしまった…」と、胸がザワザワする…という方、いらっしゃいませんか?
そう、確定申告の季節です。
「今年もあの混雑した会場に行かないといけないのか…」
「もし計算が1円でも間違っていたら、税務署の人に怖い顔で怒られるんじゃないか…」
そんな不安を想像するだけで、足取りが重くなりますよね。「確定申告」という言葉を聞くだけで、税務署 のあの独特な緊張感、シンと静まり返っただだっ広い会場、冷たいパイプ椅子、そして自分の番号がいつ呼ばれるか分からないままひたすら待つ、あの長い時間を思い出して「あぁ、行きたくない…」と、心の底から憂鬱になっているかもしれません。
私自身も、フリーランスになりたての頃、初めての確定申告で本当にひどい目に遭いました。
開業届は出したものの、会計ソフトも使っておらず、手書きの収支計算書と申告書を握りしめ、不安な気持ちで税務署の会場に乗り込んだんです。
当然、会場はごった返していました。インフルエンザが流行っている時期なのに、咳き込む音があちこちから聞こえる空間で、番号札を持って待つこと約2時間。
ようやく呼ばれた相談窓口で、私のボロボロの書類を見た職員の方は、ため息混じりに(私にはそう見えました)言いました。
「はい、この書類、ここもここも違いますね。そもそも、この経費の計算方法じゃ青色申告は認められませんよ」
別に怒鳴られたわけではありません。ですが、あの時の「自分だけが何も分かっていない落第生のような居心地の悪さ」と「2時間待った結果がこれか…」という徒労感は、今でも忘れられません。結局、その日はまともな申告ができず、泣きそうになりながら家に帰ったんです。
でも、安心してください。
あの時の私のように、あなたが辛い思いをする必要はもうありません。
今の時代、確定申告は税務署に行かなくても、自宅で完結できます。
この記事では、あなたが「税務署に行きたくない」と感じているその理由を、一つひとつ丁寧に、まるで玉ねぎの皮をむくように解きほぐしていきます。
そして、「なーんだ、そうすれば良かったのか!」と心の底からスッキリ安心できる具体的な方法を、私の数々の失敗談(笑)も交えながら、徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたの「確定申告ブルー」は、きっとキレイに晴れ渡っているはずです。
ポイント
・確定申告は税務署に行かなくてもスマホや郵送で完了できる
・一番のおすすめは自宅から申請できる「e-Tax(電子申告)」
・マイナンバーカードがなくてもe-Taxは利用可能
・郵送提出で不備があっても電話で連絡が来るだけ
・申告内容の間違いや期限過ぎも後から修正できるので焦らない
・副業バレの不安は「住民税の普通徴収」で自己解決できる
・税務署の職員は怖くない。電話相談も活用できる
結論:確定申告は税務署に行かなくても完結できます
まず、一番大切な結論から、もう一度お伝えします。
どんなに「税務署に行きたくない」と思っていても、申告義務がある以上、確定申告をしないわけにはいきません。
ですが、「確定申告 = 3月に税務署の会場に並ぶこと」という考えは、もう完全に過去のものです。
今は、自宅のあたたかいリビングから、なんならお気に入りの音楽を聴きながら、パジャマのままでも(笑)、確定申告をスマートに終わらせる方法がちゃんと用意されています。
あの混雑、あの緊張感、あの待ち時間から、あなたを完全に解放してくれる方法があるんです。
「税務署に行きたくない」10の理由(あなたの悩みはどれ?)
あなたが「行きたくない」と感じる理由は、きっと一つではないはずです。
「とにかく面倒くさい」という一言の裏には、様々な感情が渦巻いています。
以下に、多くの方が抱えている「行きたくない理由」を10個ピックアップしました。
「そうそう、これ!」「あ、これもだ!」と、あなたも深く頷くものがあるのではないでしょうか。
- 悩み1:行かずに済む方法が知りたい(スマホ・郵送)
- → 「そもそも行かなくていいなら、それが一番!」
- 悩み2:間違いを怒られそうで怖い
- → 「もし計算が間違っていたら、税務調査とかになるんじゃ…」
- 悩み3:平日に行く時間がない
- → 「会社員だから、夕方5時までに税務署なんて絶対無理!」
- 悩み4:会場の混雑・待ち時間が嫌
- → 「あの行列を思うだけで疲れる。時間を無駄にしたくない」
- 悩み5:e-Taxが難しそう(マイナカード問題)
- → 「デジタルは苦手。結局、設定が面倒で挫折しそう…」
- 悩み6:副業バレの相談がしにくい
- → 「『副業してるの?』とか窓口で聞かれたらどうしよう…」
- 悩み7:期限過ぎで行きづらい
- → 「忘れてた…。今から行ったら、めちゃくちゃ怒られそう…」
- 悩み8:職員が高圧的で怖いイメージ
- → 「ドラマみたいに『それは経費になりません』と一刀両断されそう」
- 悩み9:準備不足で恥をかきたくない
- → 「『こんなのも用意してないの?』と呆れられたくない」
- 悩み10:郵送の不備が不安
- → 「送ったはいいけど、もし不備があったらどうなるの…?」
どうでしょうか。
私自身、会社員時代の副業申告では「悩み2(間違いが怖い)」と「悩み6(副業バレ)」を、フリーランスになってからは「悩み4(混雑が嫌)」と「悩み8(怖いイメージ)」を強く感じていました。特に「悩み2」は深刻で、申告が終わった後も「税務署から電話がかかってきたらどうしよう」と、数ヶ月はビクビクしていたものです。
大丈夫です。これらの悩みは、今からご紹介する方法と正しい知識で、すべて解決できます。
一つひとつ、あなたの心に刺さったトゲを、丁寧に抜いていきましょう。
なぜ「行かない申告」が最強なのか?
税務署に行かずに自宅で申告すること(私は親しみを込めて「おうち申告」と呼んでいます)には、あなたが思っている以上に、計り知れないメリットがあります。
これは単に「楽ができる」という話ではありません。
理由1:24時間いつでも提出できる(時間・曜日の制約ゼロ)
税務署の開庁時間は、ご存知の通り、平日の朝8時半から夕方5時まで。
会社員の方は、申告のためだけに有給休暇を取るか、昼休みにダッシュする必要がありました。
ですが、「おうち申告」(特にe-Tax)なら、平日の深夜でも、土日の朝でも、文字通り24時間、あなたの好きなタイミングで提出(送信)が可能です。確定申告が、あなたの生活スケジュールに合わせる時代なんです。
理由2:混雑や待ち時間とは無縁(ストレスフリー)
確定申告シーズンの税務署は、本当に、本当に混雑します。
先ほどお話しした私の「2時間待ち」体験のように、貴重な時間を待合室の椅子でただ浪費するのは、あまりにもったいないですよね。
インフルエンザや風邪が流行る時期に、あの人口密度の高い空間に長時間いること自体がリスクです。
自宅なら、誰にも邪魔されず、コーヒーを飲みながら、リラックスして自分のペースで進められます。
理由3:還付金が早い(e-Taxの場合)
これは非常に大きな、そして実利的なメリットです!
医療費控除やふるさと納税、住宅ローン控除などで「還付金(払いすぎた税金が戻ってくるお金)」がある場合、e-Tax(電子申告)で提出すると、紙で提出するより圧倒的に早く振り込まれます。
目安として、e-Taxなら提出から約2~3週間。
一方、紙(郵送や窓口提出)だと、約1ヶ月~1ヶ月半かかります。
どうせ貰えるお金なら、1日でも早く振り込まれた方が絶対に嬉しいですよね。e-Taxを選ぶ強力な動機になります。
理由4:対面不要で精神的ストレスがない
結局のところ、「行きたくない」理由の根底にあるのは、多くの場合「対面のストレス」です。
「こんな初歩的なことを聞いていいんだろうか…」
「この経費、認められるかな…(ビクビク)」
「周りの人はスラスラ終わってるのに、自分だけ時間がかかってる…(焦り)」
「おうち申告」なら、こんなストレスは一切ありません。誰の目も気にせず、何度でも説明を読み返し、自分の作業に100%集中できます。
「税務署に行かない」ための具体的な3つの方法
では、いよいよ本題です。
具体的にどうすれば「税務署に行かない」を実現できるのか。
ここでは、あなたの状況やITスキル、そして「どれだけ面倒を避けたいか」というレベルに合わせて、3つの「おうち申告」の方法を、メリット・デメリットと共に詳しくご紹介します。
方法1【一番おすすめ】e-Tax(スマホ・PC)で電子申告
メリット: 自宅で完結、還付が早い、医療費控除の領収書など一部の添付書類を省略できる
デメリット: 最初の利用登録や環境設定が少し面倒(と感じる人も)
おすすめな人: ほぼすべての人(特に会社員、副業をしている人、フリーランス)
今、国が「お願いですから、こっちを使ってください!」と最も推奨しているのが、このe-Tax(イータックス)です。インターネット経由で確定申告のすべてを終わらせる方法ですね。
数年前までは、正直言って、e-Taxは「ITに詳しい人向け」のシステムでした。
私自身、「ICカードリーダー」という謎の機械をAmazonで買い、PCにドライバをインストールし、設定で半日潰れた…という苦い経験があります。
ですが、声を大にして言いたい。今のe-Taxは、あの頃とは別物です。劇的に進化しています。
特に「スマホ申告」は、
- マイナンバーカード
- 読み取りに対応したスマホ(iPhoneもAndroidも、最近の機種なら大体OKです)
- 「マイナポータル」アプリ
この3つさえあれば、本当に驚くほど簡単に終わります。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にスマホでアクセスし、源泉徴収票をカメラでパシャリと撮影すれば、数字が自動で入力されます。あとは画面の指示に従って、ふるさと納税の金額などをポチポチ入力し、最後にマイナンバーカードをスマホで「ピッ」とかざして認証すれば…「送信完了」です。
「デメリット」として挙げた「最初の利用登録」も、昔に比べればずっと簡単になりました。私自身、e-Taxに完全移行してからは、確定申告にかかる時間が(書類準備を除けば)1時間もかからなくなり、「あの税務署での2時間待ちは、一体何だったんだ…」と、良い意味で呆然としたほどです。
方法2【書類で安心】郵送(信書)で提出
メリット: 手元に「紙」で証拠を残しやすい、昔ながらの方法で安心感がある
デメリット: e-Taxより還付が遅い、送料がかかる、控えが欲しい場合はひと手間かかる
おすすめな人: どうしてもPCやスマホの操作が苦手な人、すべての記録を紙で管理したい人
「デジタルはよく分からない」「やっぱり自分の目で見て、紙で提出しないと不安だ」という方も、もちろんいらっしゃると思います。
大丈夫です。郵送でも、あなたは税務署に行く必要は一切ありません。立派な「おうち申告」です。
手順はこうです。
- 国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」で必要な情報を入力します。(手書きより、自動計算されるので絶対におすすめです)
- 完成した申告書を、プリンターで印刷します。
- 源泉徴収票や控除証明書など、必要な添付書類を貼り付けます。
- すべてを封筒に入れ、あなたの住所地を管轄する税務署に郵送します。
これなら、税務署の開庁時間を気にする必要も、混雑した会場で待つ必要もありません。
提出する税務署の住所(「〇〇税務署 御中」と書きます)さえ間違えなければ、立派な申告です。ただし、この方法は後述する「信書」のルールを守る必要があります。
方法3【究極】税理士に丸投げする
メリット: 時間と手間が一切かからない、専門家による節税アドバイスも貰える、税務調査の際も「盾」になってくれる
デメリット: 費用がかかる(当然ですが…)
おすすめな人: 副業や事業の売上が大きい人、インボイス登録をしたフリーランス、とにかく時間をお金で買いたい人
これは「究極の」行かない方法であり、最強の「おうち申告」です。
確定申告のプロフェッショナルである税理士さんに、すべてを「丸投げ」します。
もちろん費用はかかります。
顧問契約なら月額1万円~、確定申告だけをスポットでお願いする場合でも、事業所得なら10万円前後~が相場になることが多いでしょう。
「高い!」と思いますか?
でも、そのリターンは計り知れません。あなたは領収書や売上データを(今は会計ソフト経由で共有することが多いです)渡すだけ。あとはプロが、法律と税制に則った「最も有利な形」で申告を(もちろんe-Taxで)行ってくれます。
何よりのメリットは、自分では絶対に気づかなかったであろう「専門家による節税アドバイス」です。
「この交際費、もっと経費にできますよ」
「この制度を使えば、税金がこれだけ安くなります」
結果として、税理士さんに支払う費用以上に、手元に残るお金が増えるケースも少なくありません。
私自身、売上が一定のライン(私の場合、年間800万円くらいでした)を超えたタイミングで、「自分の時間単価で計算したら、申告作業に3日もかけるのは赤字だ」と気づき、税理士さんにお願いすることにしました。
あの時の解放感は、まさに「自由を手に入れた」という感覚でしたね。
「売上が大きくなってきた」「インボイス登録で訳が分からない」という方は、真剣に検討する価値があります。
e-Taxと郵送の「不安・疑問」をここで解決
「行かない方法があるのは分かった。でも、e-Taxや郵送にも、やっぱり別の不安があるんだけど…」
そうですよね。特に「悩み5(e-Taxが難しそう)」や「悩み10(郵送の不備が不安)」を抱えている方のために、ここでその不安をピンポイントで解消していきます。
悩み解決(e-Tax編):マイナンバーカードがないとダメ?
結論:いいえ、なくても可能です。
e-Taxには、大きく分けて2つの認証方法があります。
- マイナンバーカード方式(スマホでピ!が一番おすすめ)
- ID・パスワード方式
「マイナンバーカードは持っているけど、スマホが対応していない」
「カードを今、申請中だ」
「そもそもカードを作るのに抵抗がある」
という方は、2の「ID・パスワード方式」が使えます。
これは、一度だけ(ここが少しネックですが、一度だけです!)、あなたの身分証明書(運転免許証など)を持って税務署に行き、対面の本人確認をした上で「ID(利用者識別番号)」と「パスワード(暗証番号)」を発行してもらう方法です。
「え、結局、税務署に行くんかい!」というツッコミが聞こえてきそうですが(笑)、これは3月の激混みシーズンに行く必要はありません。空いている時期(例えば11月とか)に税務署に行けば、窓口で15分ほどの手続きで済みます。
一度このIDとパスワードを発行してしまえば、翌年からはその2つだけでe-Taxが利用できます。
マイナンバーカードに抵抗がある方にとっては、現実的な「行かない」ための準備だと言えます。
とはいえ、やはりマイナンバーカード方式が一番スムーズで、国の制度としても主流です。マイナンバーカードは、これからの時代の「デジタル身分証」として、確定申告以外でも(例えば、コンビニで住民票を取ったり)使う場面が激増しています。これを機に取得を検討するのが、長い目で見ると一番「楽」かもしれませんね。
悩み解決(e-Tax編):やり方が難しそう…
結論:「会計ソフト」を使えば、まるでゲームのチュートリアル感覚で終わります。
「e-Tax」と聞くと、国税庁のあの青くて情報量が多い、難しそうなホームページを想像して、それだけでアレルギー反応が出てしまうかもしれません。
ですが、先ほども少し触れましたが、今は「freee(フリー)」や「マネーフォワード クラウド確定申告」といった、本当に素晴らしいクラウド会計ソフトがあります。
これらのソフトがなぜ「神」なのか。
それは、銀行口座やクレジットカードと連携して、日々の取引データ(売上や経費)を自動で取り込んでくれるからです。
あなたは、自動で取り込まれたデータを見て、「これは通信費」「これは売上」と、まるで家計簿アプリで仕分けするような感覚でポチポチと分類していくだけ。領収書も、スマホのカメラで撮影すればAIが読み取ってくれます。
そして運命の申告時期になったら、「確定申告書類の作成」というボタンをポチッ。
ソフトが「はい、次はふるさと納税の金額を入力してください」「次は、医療費控除ですね。ご家族の分も合算しますか?」と、まるでゲームの親切なナビゲーターのように、あなたをゴール(=申告完了)まで導いてくれます。
そして最後は、ソフトの画面から直接e-Taxで送信完了。
あなたは、国税庁のサイトを1秒も開くことなく、確定申告を終えてしまうのです。
特に副業をしている会社員の方(雑所得の計算が面倒ですよね)や、青色申告のフリーランス(複式簿記なんて分かりませんよね!)の方は、会計ソフトの導入は「検討」ではなく「必須」と言っていいでしょう。月額1,000円~2,000円程度のコストはかかりますが、これは「税務署に行かない自由」と「計算間違いの恐怖からの解放」を買うための、最も安い投資です。
悩み解決(郵送編):書類に不備があったらどうなる?
結論:税務署から「電話」がかかってきて、修正箇所を“普通に”指示されます。
これも、とても多い不安ですよね。「もし封筒の宛先を間違えたら?」「もし数字を1行書き間違えたら?」
「不備があったら、いきなり税務調査が来て、家宅捜索が…!」なんてことは、ドラマの見すぎです(笑)。
まず、税務署の担当者からあなたの携帯電話に、ごく普通に電話がかかってきます。
「もしもし、〇〇様のお宅でしょうか?私、××税務署の個人課税部門の者ですが、先日ご郵送いただいた確定申告書について、1点だけ確認したいことがありまして…」
こんな感じです。彼らも鬼ではありません。申告書に書かれた電話番号に連絡をくれて、「大変恐縮なのですが、ここの数字が添付の源泉徴収票と違うようなのですが、ご確認いただけますか?」「あ、こちら、押印が漏れているようですので、お手数ですが…」と、修正箇所を具体的に教えてくれます。
決して、怒られたり、厳しく追及されたりすることはありません。
彼らの仕事は「正しい税金を計算すること」であり、国民を叱ることではないからです。
(もちろん、明らかに悪質な脱税は別ですが、それはこの話とは全く次元が違います)
指示された通りに修正した書類を、再度郵送(または「それくらいなら、こちらで直しておきますね」となる場合も)すれば、それで完了です。怖がる必要はゼロです。
郵送提出で失敗しないための注意点
郵送提出で一つだけ、絶対に守ってほしいルールがあります。
それは、必ず「信書(しんしょ)」として送ることです。
- OKな送り方: 郵便局の「普通郵便」「速達」「簡易書留」「レターパック(ライト・プラス共にOK)」
- NGな送り方: ゆうパック、ゆうメール、ヤマト運輸の宅急便、佐川急便など
これは郵便法という法律で決まっていて、「確定申告書」は「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」=「信書」に該当します。
信書を送れるのは、日本郵便(と国が許可した一部の事業者)だけなのです。
もし宅急便などで送ってしまうと、ルール違反として受け付けてもらえない(税務署から「送り返すので、郵便で出し直してください」と連絡が来る)可能性があります。
一番手軽で確実なのは、郵便局の窓口で「普通郵便でお願いします」と言うか、レターパックで送ることです。
そして、もう一つ。これは必須ではありませんが、強く推奨します。
「提出した証拠(受付印が押された控え)」が欲しい場合は、必ず以下の2点を同封してください。
- 申告書の控え(提出用と全く同じ内容をもう1部コピーしたもの)
- 切手を貼った返信用封筒(あなたの宛先・氏名を書いたもの)
これを入れておくと、税務署はあなたの「控え」に「〇月〇日 受付」というハンコ(収受印)を押して、返信用封筒で送り返してくれます。
これこそが、「私はちゃんと期限内に提出しましたよ」という何よりの公的な証拠になります。
特に、住宅ローンを組む時や、保育園の申請などで「申告書の控え」が必要になるケースは非常に多いです。
私自身、一番最初の郵送申告でこれを忘れ、手元に控えが残らず、数ヶ月間「本当に受理されたんだろうか…」と不安な日々を過ごしました。
「控え」と「返信用封筒」。この2点セットは、郵送申告の「お守り」だと思って、絶対に忘れないでくださいね。
税務署や申告内容への「怖い・不安」を徹底解消
ここまでは「物理的に行かない方法」を見てきました。
ここからは、あなたの心の中にある、もっと根深い「精神的なバリア」…つまり、「怖い」「不安」「恥ずかしい」という感情を解消していきます。
悩み解決:申告内容が間違っていたら怒られる?
結論:故意(わざと)でなければ、全く問題ありません。
「もし計算が1円でも違っていたら…」
「この経費、本当は認められないものだったらどうしよう…」
この不安、よく分かります。まるで学校のテストで、自信のない解答欄を先生に厳しくチェックされているような、あの心境ですよね。
でも、税務署は学校ではありません。
万が一、申告内容に間違いがあったとしても、それがあなたの「うっかりミス」や「ルールの勘違い」であれば、誰もあなたを責めたり、罰したりしません。
税務署の目的は、あくまで「正しい税額」を納めてもらうことだけです。
もし申告期限(3月15日)が過ぎた後に間違いに気づいたら、
- (税金を少なく申告していた場合) → 「修正申告(しゅうせいしんこく)」
- (税金を多く払いすぎていた場合) → 「更正の請求(こうせいのせいきゅう)」
という手続きをすればOKです。
特に、税務署から「ここ、違いますよ」と指摘される前に、自分から「すみません、間違えていたので直します!(修正申告)」と自主的に申告すれば、ペナルティ(過少申告加算税)も軽く(または免除に)なります。
間違いは誰にでもあるものです。大切なのは、気づいた時に正直に、速やかに修正すること。それだけです。
悩み解決:期限を過ぎたら(忘れたら)どうなる?
結論:1日でも早く「期限後申告(きげんごしんこく)」をしてください。
3月15日を過ぎて、「あ…忘れてた…」「忙しくて間に合わなかった…」と血の気が引く瞬間。
こうなると、ますます「税務署に行きづらい」「怒られるのが怖くて行けない」という最悪の悪循環に陥ります。
ですが、こういう時こそ「行かない申告」の出番です。
期限を過ぎた申告書も、e-Taxや郵送で提出できます。
対面で「遅れました、すみません…」と頭を下げ、気まずい思いをする必要すらないのです。
もちろん、ペナルティは覚悟しなければなりません。
期限後に申告すると、本来納めるべき税金に加えて、
- 無申告加算税(納める税金の15%~20%など)
- 延滞税(利息のようなもの。日割りで加算)
が課せられる可能性があります。
ですが、ここが重要です。
税務署から「あなた、申告してませんよね?」と指摘される前に、自分から自主的に期限後申告をすれば、この「無申告加算税」は5%にまで大幅に軽減されます。
つまり、放置すればするほど、金銭的にも損をするのです。
一番ダメなのは、「怖いから」と何年も放置すること。
期限を過ぎてしまったら、「怖い」「気まずい」という感情は一旦ゴミ箱に捨てて、淡々とe-Taxか郵送で提出してしまう。それが一番、あなたの傷(金銭的にも精神的にも)が浅く済む方法です。
悩み解決:税務署の職員は本当に怖い?
実態:彼らも「正しく申告してもらう」のが仕事の公務員です。
ドラマの影響か、「マルサの女」のような、高圧的で、納税者を犯人のように扱う怖いイメージを持っている方も多いかもしれません。
ですが、税務署の窓口や電話相談の担当者は、私たちと同じ「普通の人」であり、国民に奉仕する公務員です。彼らのミッションは、悪質な脱税犯を捕まえること(それは査察部という、ごく一部の専門部署の仕事です)ではなく、申告に困っている人をサポートし、正しく手続きを終えてもらうことです。
私自身、会計ソフトの設定でどうしても分からないことがあり、税務署のヘルプデスクに電話したことが何度もあります。
「あの、e-Taxの送信でエラーコード〇〇と出たんですが…」
「あ、〇〇様、それはですね、おそらくPCのこちらの設定が…」
その時の対応は、まるで家電のコールセンターの担当者さんのように、非常に丁寧で、こちらの(素人丸出しの)状況説明をゆっくり聞いてくれました。「ああ、怖がる必要なんて全然なかったんだな」と心から思った瞬間です。
もちろん、人間ですから、中には無愛想な担当者もいるかもしれません。
ですが、それは税務署に限らず、どんな組織でも同じことです。
不安なことがあれば、会場に行く前に、まずは「確定申告電話相談センター」などに電話で(匿名でも質問できます)聞いてみましょう。きっと、あなたの不安は杞憂に終わるはずです。
悩み解決:準備不足で恥をかきたくない
結論:最低限「これだけ」あればOK、というチェックリストをお渡しします。
税務署に行くのが不安な理由の一つに、「会場で『あの書類が足りませんね』『これは違います』と、周りに聞こえるように言われるのが恥ずかしい」というのもありますよね。
「おうち申告」なら、その心配はゼロです。誰にも見られません。足りない書類があっても、慌てず家の中を探せばいいだけ。
とはいえ、何が必要か分からないと始められませんよね。
申告内容によって異なりますが、ここでは最も多いであろう「会社員で副業(雑所得)がある人」を例に、最低限の準備リストを作成しました。
- 【超重要】源泉徴収票(会社員・パートの場合)
- 会社から12月~1月頃にもらう、一番大事な紙です。原本が必要です。
- 【副業関連】売上と経費が分かるもの
- 売上:支払調書(あれば)、または売上が振り込まれた通帳、売上管理表など。
- 経費:領収書、レシート、クレジットカードの明細書など。
- (これこそ、会計ソフトがあれば一発で集計できます)
- 【控除関連】各種控除証明書(税金の割引クーポンです)
- 医療費の領収書(今は合計額を集計した「医療費控除の明細書」だけでOK)
- ふるさと納税の「寄附金受領証(証明書)」
- 生命保険料控除証明書(ハガキで来るもの)
- 地震保険料控除証明書(ハガキで来るもの)
- iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金払込証明書
- 国民年金保険料の控除証明書
- 【本人確認】マイナンバーカード
- e-Tax(スマホ認証)で最強の武器になります。
- 郵送の場合は、表面と裏面のコピーを添付台紙に貼ります。
- (ない場合は「通知カード(※記載事項に変更がない場合のみ)+運転免許証」などの組み合わせでも可)
- 【還付金用】還付先の銀行口座が分かるもの
- 還付金を受け取るための、あなた名義の通帳やキャッシュカードです。
これだけ揃っていれば、自信を持って申告作業を始められます。
【副業バレ】税務署で相談しにくい悩みの解決法
さて、最後は「行きたくない理由」の中でも、最もデリケートで、最も深刻なこの問題です。
「副業が会社にバレるのが怖くて、税務署で堂々と相談なんてできない…」
「もし、税務署から会社に連絡がいったら…」
この不安を抱えている方、本当に多いと思います。
悩み解決:副業の申告で会社にバレないか不安
結論:税務署で相談しなくても大丈夫。「住民税」の欄で、あなた自身が手続きできます。
まず、大前提として、税務署があなたの副業のことを、あなたの会社にチクる(連絡する)ことは絶対にありません。税務署の職員には守秘義務がありますから、安心してください。
「副業が会社にバレる」原因の99%は、税務署ではなく、その後に通知が行くあなたの「市区町村(役所)」から、あなたの会社に送られる「住民税」の通知書です。
仕組みを、できるだけ簡単に説明しますね。
- あなたが確定申告をします。(例:給与500万+副業所得30万)
- 税務署は、その情報をあなたの住む市区町村(〇〇市役所など)に送ります。「この人、A社からの給与以外に、副業で30万円の所得がありましたよ」と。
- 市区町村は、その「給与500万+副業30万=合計530万」の所得で、あなたの「住民税」を計算します。
- そして、その決定額を「特別徴収」といって、あなたの本業の会社(A社)に通知します。「A社の経理担当さん、この人の住民税は合計で〇〇円なので、毎月の給与から天引きしてくださいね」と。
ここで、バレます。
A社の経理担当者は、毎年住民税の計算をしていますから、給与(500万円)に対する住民税額の「相場」を知っています。
通知された金額を見た担当者は、思います。
「あれ?うちの給与だけで計算した住民税額より、やけに金額が高くないか…?もしかして、この人、他で稼いでる?」
これが、最も王道な「副業バレ」のルートです。
では、どうすればいいか?
この通知ルートを、あなたが意図的に変えればいいのです。
そのための「魔法のチェックマーク」が、確定申告書に存在します。
確定申告書の第二表(2ページ目)に、「住民税・事業税に関する事項」という欄があります。
そこに、給与・公的年金等以外の所得(つまり副業の所得)にかかる住民税の徴収方法を選ぶ欄があります。
- □ 特別徴収(会社からの天引きに合算する)
- □ 自分で納付(普通徴収)
あなたは、「自分で納付(普通徴収)」に、命がけでチェックを入れるのです。
[※ここに確定申告書第二表の「自分で納付」欄を指し示す画像を入れるイメージ]
ここにチェックを入れること。
これが、あなたがやるべき唯一にして最大の「副業バレ対策」です。
このチェックは、市区町村に対して、
「給与所得(500万)の分の住民税は、今まで通り会社から天引き(特別徴収)してください。でも、副業で稼いだ(30万)分の住民税は、私の自宅に直接、納付書を送ってください。私が責任を持って自分で払います(普通徴収)」
という、明確な意思表示になります。
これにより、会社には「給与分(500万)の住民税」の通知しか行かなくなるため、副業がバレるリスクを極限まで減らすことができます。
【※超重要:注意点】
ただし、この「普通徴収」が使えない(または、使えない可能性がある)ケースがあります。
それは、あなたの副業が「アルバイト」や「パート」など、会社に雇われる形の「給与所得」だった場合です。
法律上、給与所得は原則としてすべて合算し、メインの給与を支払う会社で「特別徴収」することになっています。
そのため、副業が「給与所得」の場合、このチェックを入れても、市区町村によっては普通徴収に分けてくれず、会社に合算して通知してしまう場合があります。
(※「雑所得」や「事業所得」(ウーバーイーツ、ハンドメイド、ブログ、業務委託など)であれば、ほぼ確実に分けてもらえます)
もしあなたの副業が「給与所得」で、どうしてもバレたくない場合は…正直、かなり難易度が上がります。市区町村の窓口に「何とか分けてもらえないか」と直接交渉するしかありません。
まずは、ご自身の副業が「給与所得」なのか、それ以外の「雑所得・事業所得」なのかをしっかり確認してくださいね。
税務署に行きたくない人の確定申告まとめ
「確定申告」と「税務署」という言葉に、もう「行きたくない」と怯える必要は、本当になくなったということが、お分かりいただけたでしょうか。
「確定申告=税務署の会場に並ぶこと」という、あの重たくて古いイメージは、今日で卒業しましょう。
あなたのその「行きたくない理由」は、正しい知識と、e-Taxや会計ソフトという便利なツールで、そのほとんどが解決可能です。
まとめ
・確定申告は「e-Tax」か「郵送」で自宅から完結させる
・「e-Taxは難しい」は過去の話。会計ソフトを使えばゲーム感覚で終わる
・マイナンバーカードがなくても「ID・パスワード方式」がある
・郵送の不備は電話で連絡が来るだけ。怒られることはない
・申告内容の間違いや期限過ぎも、後から冷静に対処すれば問題ない
・税務署の職員は怖くない。不安なら電話相談をフル活用する
・副業バレの不安は「住民税の普通徴収」チェックで自己防衛する
混雑や待ち時間、対面のストレスとは無縁の「おうち申告」で、面倒な確定申告をスマートに終わらせて、スッキリした気持ちで春を迎えましょう!
あなたの確定申告が、今年こそストレスフリーで完了することを、心から願っています。