おばさんのソロキャンプは痛い？40代からの不安解消と楽しみ方

「いい歳をして一人でキャンプなんて、寂しい人だと思われないかしら…」

「キャンプ場で浮いてしまって、陰で『痛い』と笑われたらどうしよう…」

今、この画面を見つめているあなたは、ソロキャンプという未知の扉の前で、期待よりも不安の重さに押しつぶされそうになっているのではないでしょうか。

新しいリュックサックを買うことさえ、「私なんかが買ってもいいのかな」と躊躇してしまう。そのお気持ち、痛いほどによく分かります。

正直にお伝えします。

「おばさん」という、世間が勝手に作り出した言葉の呪縛に囚われて、あなたの人生の貴重な時間を諦めてしまうのは、あまりにも勿体無いことです。

 

私自身もそうでした。

50代に差し掛かり、子供の手が離れ、ふと訪れた「自分だけの時間」。

昔から憧れていたキャンプに行きたいと思ったものの、スーパーで一人分の食材をカゴに入れる時でさえ、「寂しい食卓だと思われないかな」と周りの目を気にして、コソコソと買い物を済ませていたような人間です。

キャンプ場なんていう「リア充（死語かもしれませんが、当時は本気でそう思っていました）」が集まる場所に、私のような中高年のおばさんが一人で乗り込んだら、石でも投げられるんじゃないか。そんな被害妄想に近い恐怖を抱えていました。

でも、勇気を出して一歩踏み出してみると、そこには想像していた「針のむしろ」ではなく、誰にも邪魔されない、静寂と自由に満ちた極上の時間が待っていたのです。

焚き火の爆ぜる音、淹れたてのコーヒーの香り、そして何より、「誰のためでもない、自分のためだけに使う時間」の豊かさ。

それは、人生の後半戦を生きる私たちにとって、何物にも代えがたい栄養剤でした。

この記事では、40代〜60代の女性が抱える「痛いと思われないか」という不安を一つずつ丁寧に解きほぐし、大人の女性だからこそ味わえる、スマートで贅沢なソロキャンプの楽しみ方をご提案します。

ただのノウハウだけではありません。私が数々の失敗（恥ずかしい思いもたくさんしました！）を経てたどり着いた、「心構え」と「処世術」をお伝えします。

 

自意識の殻を破って、自分だけの贅沢な時間を手に入れましょう。
大丈夫、あなたは決して「痛い」存在などではありません。

 

 

「おばさんのソロキャンプは痛い」は9割が思い込み！今こそ始めるべき理由

ソロキャンプを始めようとする時、一番高くそびえ立つ壁は、体力でも予算でもなく、「世間の目」という見えない壁ではないでしょうか。

 

「あの人、友達いないのかな」
「家族に見放されたのかな」
「いい歳して、若い子の真似事して…」

 

そんなふうに後ろ指を指されているような幻聴が聞こえて、怖くなってしまう。
まるで、自分が透明な箱に入れられて、値踏みされているような感覚。

でも、ここで断言させてください。
その「痛み」や「恐怖」の正体の9割は、実は自分自身の心が作り出した「幻」なのです。

 

自意識過剰かも？キャンプ場の他人は驚くほどあなたを見ていない

 

少し厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、これはとても安心できる真実です。
キャンプ場に来ている人たちは、驚くほど他人に興味がありません。

 

想像してみてください。

あなたが久しぶりに家族と高級レストランに行ったとします。
久しぶりの外食、美味しい料理、弾む会話。
そんな幸せな時間の最中に、隣のテーブルで一人静かに食事をしている女性のことを、ジロジロと観察し続けるでしょうか？
「あの人、一人で来てるわよ」「寂しそうね」なんて、食事中ずっと話題にするでしょうか？

 

しませんよね。

一瞬目に入ったとしても、「あ、お一人様なのね」と思うだけで、次の瞬間には目の前のステーキや、家族との会話に意識が戻っているはずです。
あなたにとっても、その女性はあくまでレストランの風景の一部であり、記憶にも残らない存在でしょう。

 

キャンプ場でも、全く同じことが言えます。
ファミリーキャンパーのお父さんはテントの設営や火起こしに必死で、お母さんは子供たちが怪我をしないか見張るのに忙しく、子供たちは自然の中での遊びに夢中です。
グループキャンパーは、自分たちの会話や料理に花を咲かせています。

 

彼らの視界の中に、遠くのテントで本を読んでいるあなたの姿が入ったとしても、それは「木」や「石」と同じ、ただの背景の一部です。
誰もあなたを主役にして、物語を勝手に作り上げたりはしません。

 

私自身、初めてのソロキャンプの時は、まさに自意識過剰の塊でした。

テントから出るのが怖くて、トイレに行く時も帽子を目深に被り、誰とも目を合わせないように競歩のような速さで歩いていました。
心臓はバクバクと音を立て、「きっとみんなが見ている」「笑っている」と思い込んでいました。

でも、ふと顔を上げてみると、すれ違う人々は私になんて目もくれず、それぞれの時間を楽しんでいたのです。
挨拶をすれば、「こんにちは！」と笑顔で返してくれる。ただそれだけ。
誰も私を「痛いおばさん」として見ていないし、そもそも私の存在自体に関心がない。

 

その時、「ああ、私はなんて自意識過剰だったんだろう」と、拍子抜けすると同時に、肩の荷がどっと下りたのを覚えています。

あなたが心配しているほど、世界はあなたを監視していません。
誰も見ていないのなら、もっと堂々と、自由に振る舞っても大丈夫だと思いませんか？

 

ファミリーや若者とは違う「大人のソロキャンプ」人口は急増中

「キャンプ＝若者のレジャー」や「キャンプ＝家族サービス」というイメージをお持ちなら、その情報は少し古いかもしれません。

最近のキャンプ場を見渡すと、驚くべき変化に気づかされます。

 

週末はもちろん、特に平日のキャンプ場に行ってみてください。
そこには、しっとりと落ち着いた雰囲気でソロキャンプを楽しんでいる40代、50代、あるいは60代の女性の姿が、本当によく見られるようになりました。

 

彼女たちは、派手な音楽を流して騒ぐこともなければ、映え写真を撮るために必死にポーズを取ることもありません。
ただ静かに、お気に入りの椅子に座って編み物をしていたり、丁寧に豆を挽いてコーヒーを淹れていたり、あるいは何もせずにただ焚き火の炎を見つめていたり。

その姿は「寂しい」どころか、自分の時間を慈しむように楽しんでいて、とても豊かな、成熟したオーラを放っています。

あるアウトドアメディアの調査によると、ソロキャンプ人口の中で中高年女性の割合は年々増加傾向にあるそうです。

子育てがひと段落した世代や、仕事での責任が重くなりリフレッシュを求める世代、あるいは介護などの重圧から一時的に解放されたいと願う世代にとって、ソロキャンプは「自分を取り戻すための聖域（サンクチュアリ）」として選ばれているのです。

ですから、勇気を出してキャンプ場に行けば、必ずと言っていいほど「同類」がいます。

直接会話を交わさなくても、遠くに見える同じような年代の女性キャンパーの姿を見るだけで、「私だけじゃないんだ」「あの人も楽しんでいるんだ」という連帯感が生まれ、心のハードルはずっと低くなるはずです。
私たちは、決して孤独なマイノリティではないのです。

 

「寂しい人」ではなく「自立した女性」と見られる時代の変化

世の中の価値観も、ここ数年で大きく変わってきています。
かつては「一人＝孤独＝可哀想＝友達がいない」というネガティブなレッテルが貼られがちでした。

しかし今はどうでしょうか。

「おひとりさま」「ソロ活」という言葉がポジティブに使われるようになり、一人で行動できることは「精神的に自立している証拠」として、リスペクトされる対象になりつつあります。
誰かに依存せず、自分の機嫌を自分で取ることができる。

これは、大人の女性として最高のステータスではないでしょうか。

特に、キャンプのような多少の不便さを伴うレジャーを、自分の力だけでこなし、楽しんでいる女性は、周囲から見ると「かっこいい」「たくましい」「センスがある」と映ることが多いのです。

 

私の友人に、58歳でソロキャンプデビューした女性がいます。
彼女は最初こそ「痛いおばさんだと思われたくない」と縮こまっていましたが、ある日、職場のランチタイムに何気なくスマホで自分のテントの写真を見せたそうです。

すると、20代の若い部下たちから「えっ、〇〇さんソロキャンやってるんですか！？すごいかっこいいですね！」「憧れます！」と、尊敬の眼差しで見られたのです。

 

「え？引かれないの？」と驚く彼女に、若者たちはこう言ったそうです。
「だって、一人で自然の中で過ごせるなんて、大人の余裕って感じがするじゃないですか。私たちにはまだハードルが高くて」

 

それ以来、彼女は自信を持って「週末は森へ帰るの」と笑うようになりました。
「寂しい人」に見えるか、「自立した大人の女性」に見えるか。

その違いは、周囲の評価ではなく、あなた自身が自分の時間を愛し、堂々としているかどうか。ただそれだけなのです。
背筋を伸ばして楽しんでいれば、誰もあなたを笑ったりしません。むしろ、密かに憧れの視線を送っているかもしれませんよ。

 

「若作り」と言わせない！大人の品格を守るギア選びと身だしなみ

「痛い」と思われないためには、見た目の印象をコントロールすることも大切です。
とは言っても、高級なブランド品で身を固めたり、モデルのような格好をする必要は全くありません。

むしろ、それは逆効果になることもあります。

大切なのは、「年相応の落ち着き」と、自分自身の体を労わる「機能美」を意識すること。

まるで長年使い込んだ万年筆や革の手帳のように、手に馴染み、実用的である道具を選ぶことが、大人の品格を演出する鍵となります。

 

流行りの「映えギア」よりも「設営が楽で質の良いギア」を選ぶ

InstagramなどのSNSを開くと、白やベージュで統一された可愛らしいコットンテントや、キラキラした装飾ライト、アンティーク調の重厚な棚などで飾られた「映えキャンプ」の写真がたくさん出てきます。

あれはあれで、まるでおとぎ話の世界のようで素敵です。
しかし、私たち大人が無理にそれを真似しようとすると、どうしても「若作り感」が出てしまいがちですし、何より「体力的に無理」が生じます。

 

見た目重視のギアは、往々にして重く、かさばり、設営が複雑です。

重いコットンテントを一人で担いで腰を痛めたり、複雑な飾り付けに数時間を費やしてヘトヘトになったりしては、本末転倒です。
キャンプは修行ではありません。癒しの時間です。

私たち大人が選ぶべきは、「質実剛健」でありながら「シンプルで美しい」ギアです。
例えば、落ち着いたアースカラー（深緑、カーキ、サンドカラーなど）のテント。

これらは自然の風景に溶け込みやすく、悪目立ちしませんし、汚れも目立ちにくいという実利もあります。
そして、何より優先すべきは「軽さ」と「設営のしやすさ」です。

私が強くおすすめしたいのは、ワンポールテント（ティピーテント）です。

四隅にペグ（杭）を打ち込み、真ん中に一本の柱を立てるだけ。
力のない女性一人でも、慣れれば10分〜15分ほどで設営できます。

周りのファミリーが複雑なフレームのテントと格闘し、夫婦喧嘩を始めている横で、あなたはサッと設営を終えて優雅にコーヒーを飲み始める。
この余裕こそが、最もスマートで「手練れ感」が出る瞬間です。

 

また、「寝具」には絶対にお金をかけてください。
若い頃なら薄いマット一枚で地面に寝ても平気でしたが、私たちは違います。

底冷えや地面の凹凸は、翌日の腰痛や体調不良に直結します。

地面から距離を取れる「コット（簡易ベッド）」や、厚手のインフレーターマットを導入しましょう。
「快適に眠る」ことへの投資は、大人のキャンプにおいて最も賢いお金の使い方です。

飾り立てるのではなく、自分の快適さを追求すること。これが大人の流儀です。

 

設営で手こずり笑われないための「自宅リハーサル」の重要性

「テントが立てられなくてオロオロしている姿を見られたら、バカにされそう…」
「説明書と睨めっこしている姿は、いかにも初心者っぽくて恥ずかしい…」

 

これは、初心者なら誰もが抱く恐怖です。
実際、強風の中でテントが飛ばされそうになっていたり、ポールがうまくハマらなくて立ち尽くしている姿は、見ていてもどかしいものですし、自分自身が一番惨めな気持ちになります。

 

しかし、この不安は事前の準備で100%解消できます。
それが「自宅リハーサル」です。

 

ピアノの発表会に出る前、一度も練習せずに本番に挑む人はいませんよね？

キャンプも全く同じです。
購入したテントや椅子は、必ず一度、自宅の庭や近くの公園、あるいは家の中（リビング）で広げて組み立ててみてください。

 

「どこのポールをどこに通すのか」
「どこの紐を引っ張れば立ち上がるのか」
「畳むときはどうすれば袋に収まるのか」

 

これらを一度でも体感しておくだけで、本番でのスムーズさは段違いになります。
説明書や動画を見ながらで構いません。一度やってみることで、「構造」が頭に入ります。

 

私の場合、初めてのテントを買った時は、リビングの家具を端に寄せて、YouTubeの解説動画を見ながら汗だくになって予行演習をしました。

途中で「あれ？ここ逆じゃない？」と気づいたり、「意外と力がいるな」とコツを掴んだり。
そのおかげで、現地のキャンプ場では、まるで「もう何年も使っていますよ」という涼しい顔で設営することができ、周りの視線なんて気にする余裕さえ生まれたのです。

 

準備不足は不安を生みますが、十分な準備は自信を生みます。
この「一度やったことがある」という小さな自信こそが、あなたを「痛い初心者」から「スマートなキャンパー」へと変えてくれる魔法なのです。

 

翌朝の「生活感」を消すための帽子・マスク・スキンケア術

大人の女性にとって切実な問題がもう一つ。
それは「翌朝の顔」問題です。

 

キャンプ場の朝は早いです。

鳥の声で目覚める爽やかな朝…と言いたいところですが、現実は過酷です。
テントの中は乾燥していたり、逆に結露で湿っていたり。
寝起きで髪はボサボサ、顔はむくんでいて、眉毛も描いていない…なんて状態で、トイレや洗面所に行くために外に出なければなりません。

ここで生活感丸出しの、疲れ切った姿を晒してしまうと、どうしても「所帯染みたおばさん」という印象を与えてしまいがちですし、何より自分自身のテンションが下がってしまいます。

 

そこで、私が実践している、誰にも見られずに涼しい顔を作る「朝の三種の神器」をご紹介します。

 

1. 深めの帽子（バケットハットなど）
   これは必須アイテムです。寝癖を瞬時に隠してくれるだけでなく、ツバが広いものを選べば、ノーメイクの目元も影でカバーしてくれます。これさえ被れば、とりあえずテントの外に出る資格が得られます。

2. 大きめのマスク
   コロナ禍を経てマスク姿が当たり前になったのは、私たちにとって追い風です。これを利用しない手はありません。口元を隠すだけで、顔の半分以上がカバーされ、安心感は絶大です。大きめのサイズを選べば小顔効果も。

3. 拭き取り化粧水とオールインワンジェル
   キャンプ場の炊事場でお湯が出るとは限りません。冬場などは凍えるような水で洗顔するのは修行です。また、混雑している洗面台で長時間スキンケアをするのも気が引けます。
   そこで、コットンに含ませて拭き取るだけの洗顔料を持参します。これなら、テントの中で、誰にも見られずにスキンケアが完了します。仕上げにオールインワンジェルを塗れば、保湿も完璧。

これらを枕元に置いて寝れば、起きて1分で「人前に出られる状態」を作れます。

朝のトイレへの道中、すれ違う人に爽やかに「おはようございます」と挨拶できる余裕があれば、もう誰もあなたのことを「疲れたおばさん」なんて思いません。
むしろ「朝から活動的で素敵な人だな」と思われることでしょう。

 

現場での「居心地の悪さ」を解消するスマートな振る舞い方

いざキャンプ場に到着し、設営も完了した。

でも、ふと我に返ると、「あれ、私、これから何をして過ごせばいいの？」と手持ち無沙汰になってしまうことがあります。

周りは楽しそうに会話しているのに、私だけポツンとしている…。
そんな「居心地の悪さ」を解消し、自分の世界に没入するためのテクニックをお伝えします。

 

サイト選びが全て！ファミリー・カップルの隣を避けるコツ

ソロキャンプの成否は、ギアでも料理でもなく、「場所選び」で8割決まると言っても過言ではありません。

 

映画館で映画を見る時、イチャイチャしているカップルの真ん中の席や、騒がしい子供連れの隣の席に座ってしまったら、映画の内容なんて頭に入ってきませんよね？

キャンプも全く同じです。

賑やかなファミリーや、楽しそうなカップルの隣にテントを張ってしまうと、物理的な騒音だけでなく、「私だけ一人ぼっち…」という孤独感が対比として際立ってしまいます。

 

サイト（テントを張る場所）を選ぶ時の鉄則は、「端っこ」や「背後に人がいない場所」を選ぶことです。

 

予約時に、管理人さんに正直に相談するのも非常に賢い手です。
「ソロキャンプなんですけど、静かに過ごせる場所はありますか？」
「ファミリーの方となるべく離れたいのですが…」

こう伝えると、多くのキャンプ場では配慮してくれます。

最近は、ソロキャンパー同士を近くに配置したり、ファミリーエリアとソロエリアを明確に分けているキャンプ場も増えています。

 

もし自由に場所を選べるフリーサイトなら、私は迷わず「壁（木立や崖）」を背にできる場所を選びます。
背中側に人が通らないというだけで、心理的な安心感は驚くほど高まります。

そして、テントの入り口を人の通り道とは逆の方向、できれば自然の風景だけが見える方向に向けて設営します。

そうすれば、視界の中に他人が入らなくなり、そこはもうあなただけのプライベートシアターです。
世界には私と自然しかいない。そんな錯覚を作り出すことが、居心地の良さを生み出します。

 

「何もしない」が最高の贅沢！黄昏れて見えない椅子の座り方

 

「一人でボーッとしていると、寂しそうで黄昏れているように見えないかしら…」
「何かしてないと、暇人だと思われそう…」

 

そんな不安から、無理に難しい本を読んでみたり、スマホをいじり続けて忙しいふりをしてしまう方がいます。

でも、それでは何のために日常を離れてキャンプに来たのか分かりません。
「何もしない」ことこそが、現代人にとって、そして毎日家事や仕事に追われる私たち世代にとって、最高の贅沢なのです。

 

ポイントは、椅子の座り方と視線の先にあります。

背中を丸めて地面を見つめていると、確かに「悩み事を抱えている人」「人生に疲れた人」に見えてしまいます。
しかし、椅子の背もたれに深く体を預け、あごを少し上げて、遠くの木々の梢や、流れる雲を眺めてみてください。

その姿は「黄昏れている」のではなく、「思索に耽っている」あるいは「自然と対話している」ように映ります。
手元にマグカップを一つ持っているだけでも、絵になります。

 

私自身、何もしない時間を楽しむために、座り心地の良い椅子には少しだけお金をかけました。
体をすっぽりと包み込むようなハイバックの椅子に座り、ただ風が木々を揺らす音や、鳥のさえずりを聞いている時。

その時の私は、きっと誰の目にも「人生を楽しんでいる人」として映っていると信じています。

 

ラジオを持っていくのもおすすめです。
イヤホンではなく、小さな音でラジオを流し、その声に耳を傾ける。

誰かの話し声がBGMとしてあるだけで、孤独感は薄れ、心地よい「一人の時間」だけが残ります。

 

料理は頑張らない！コンビニ活用でも「器」で魅せる手抜き術

 

「キャンプといえば料理！ダッチオーブンで煮込み料理を作らなきゃ！」
「映えるキャンプ飯を作ってSNSにあげなきゃ！」

 

そんなプレッシャーを感じる必要は一切ありません。
慣れない炭火やバーナーの火加減で失敗して食材を焦げ付かせたり、一人では食べきれないほどの大量の食材を余らせてしまったりする方が、よほどストレスですし、スマートではありません。

 

大人のソロキャンプ飯は、「頑張らない」が正解です。
コンビニのおにぎりやサンドイッチ、スーパーのお惣菜、最近美味しくなった冷凍食品を活用しても全く問題ありません。

私がよくやるのは、「お湯を沸かすだけ」のカップラーメンキャンプや、「焼くだけ」の冷凍餃子キャンプです。

ただし、一つだけ「痛み」を回避し、気分を上げるためのポイントがあります。
それは、「プラスチックのパックのまま食べない」ことです。

 

買ってきた焼き鳥やお惣菜を、そのままプラスチック容器で広げて割り箸で食べると、どうしても「侘しい独身生活」「手抜き」のような生活感が出てしまいます。

そこで、お気に入りの木の器（カッティングボードなど）や、スキレット（鉄のフライパン）、シェラカップに移し替えてみてください。

 

コンビニの冷凍ハンバーグも、スキレットで温めて、家から持ってきたクレソンやブロッコリーを一つ添えるだけで、一気に「バルのような一皿」に変身します。
カップラーメンでさえ、お気に入りの金属製のカップ（クッカー）に移して食べるだけで、立派なアウトドア料理になります。

 

「料理は手抜き、でも器にはこだわる」。

このちょっとした工夫が、食事の時間を豊かなものにし、周囲から見ても「粋な楽しみ方を知っている人」という印象を与えてくれるのです。
手間をかけずに、気分だけは最高潮に。これが大人の知恵です。

 

主婦・母としての罪悪感と「おばさん」ならではの防犯意識

主婦や母親として、長年家族を最優先にして生きてきた方ほど、いざ自分だけ楽しもうとすると、心の中にブレーキがかかってしまいがちです。

また、年齢ゆえの「私は大丈夫だろう」という防犯の油断も禁物です。
ここでは、心のハードルと現実のリスク、両面への対策を考えます。

 

「家族を放置して自分だけ…」という罪悪感の捨て方

「夫や子供のご飯はどうしよう（夫も大人なんだから自分でなんとかしてほしいけれど…）」
「私だけ遊びに行って、わがままだと思われないか」
「家事を放り出してきてしまった…」

 

家を出る瞬間まで、この罪悪感に苛まれる方は本当に多いです。

私も最初はそうでした。

出発の前日にカレーを大量に作り置きし、冷蔵庫には作り置きのおかずを詰め込み、さらに「ごめんね、これチンして食べてね」とメモを残して、何度も心の中で謝りながら出かけていました。

 

しかし、ある時気づいたのです。

ソロキャンプで思いっきりリフレッシュして、森の空気を吸って帰宅した後の私は、出かける前よりもずっと家族に優しくなれていたのです。
逆に、ずっと家にいて、家族の世話に追われ、自分の時間を持てずにストレスを溜め込んでいる時の私は、些細なことでイライラして、夫や子供に当たってしまうこともありました。

 

「お母さんの笑顔は、家庭の太陽」とよく言われますが、これは綺麗事ではなく真実です。
あなたが自分の時間を満喫し、心に余裕を取り戻すことは、結果として家族全員の幸せにつながります。

あなたがご機嫌でいることは、家族にとっても一番居心地が良い状態なのです。
ですから、ソロキャンプの費用や時間は、「私がご機嫌でいるための必要経費」であり「家族円満のための投資」だと割り切ってしまいましょう。

 

家族には、申し訳なさそうにするのではなく、「お母さん、ちょっと森でエネルギー充電してくるね！帰ってきたら美味しいお土産買ってくるから！」と明るく宣言すればいいのです。

意外と家族の方も、「たまには羽を伸ばしておいでよ（そして家で自由に過ごせるぞ）」と、あなたの自由時間を歓迎してくれるかもしれませんよ。

 

「おばさんだから大丈夫」は危険！女性として見られるリスク管理

「もうおばさんだし、襲われることなんてないわよ」
「自意識過剰じゃない？」

 

そう自虐的に笑って、防犯対策を怠るのは非常に危険です。
悲しいことですが、犯罪者にとって年齢は関係ない場合があります。

むしろ、「油断している女性」「力が弱そうで抵抗しなさそうな女性」「お金を持っていそうな女性」がターゲットにされやすいのです。

また、性的な被害だけでなく、最近は高価なキャンプ道具が盗まれるという窃盗のリスクもあります。

 

「私は警戒していますよ」「防犯意識が高いですよ」というサインを出すことが、最大の防御になります。

具体的な対策としては以下の通りです。

• 男性物の衣類を干す
  テントの前に、わざと男性用の下着や靴、大きめのアウターなどを置いておき、「一人ではない」「男性がいるかもしれない」と思わせる古典的ですが効果的な手法です。

• 鍵をかける
  寝る時やテントを離れる時は、テントの入り口のファスナーを小さな南京錠やダイヤル錠でロックします。これは物理的な防御だけでなく、「簡単には入れないぞ」という意思表示になります。

• 防犯ブザーをすぐに手の届く場所に
  枕元やポケットなど、すぐに手の届く場所に置いておきます。いざという時に声を出すのは難しいものですが、ブザーなら紐を引くだけです。

• SNSでのリアルタイム投稿を避ける
  「今ここに来ています！完ソロです！」とリアルタイムで場所を発信するのは、「今なら誰もいませんよ」と招待状を出しているようなものです。投稿は帰宅してから、あるいは場所を特定できないようにして行いましょう。

「おばさんだから」と自分を安売りせず、一人の女性として自分の身は自分で守る。

その凛とした姿勢こそが、大人の女性の嗜みであり、トラブルを未然に防ぐ結界となります。

 

どうしても視線が気になるなら「完ソロ（貸切）」か「女性専用」へ

いろいろ対策をしても、どうしても周囲の視線や防犯面が気になって、心からリラックスできない…という場合は、環境を根本から変えてみるのも一つの手です。

 

最近では、1日1組限定の「貸切キャンプ場」や、山林の一部をレンタルできるサービスが増えています。

ここなら、自分以外にキャンパーはいません。
誰の目も気にせず、好きな音楽を聴いたり、下手な鼻歌を歌ったり、パジャマのままで過ごしたりしても、誰にも文句は言われません。

まさに「森の主」になったような気分を味わえます。

 

また、「女性専用キャンプ場」や、特定の日に女性しか予約できない「レディースデー」を設けているキャンプ場もおすすめです。

周りが全員女性なら、男性の視線を気にする必要もありませんし、「お互い様」の空気感で安心して過ごせます。
スタッフも女性だけのことが多く、トイレや水回りも清潔に保たれていることが多いのも嬉しいポイントです。

 

初心者向けの講習会を開いているところもあるので、そこからスタートして、徐々に慣れていくのも良いでしょう。

無理をして最初からハードな環境に飛び込む必要はありません。
自分が一番心地よいと思えるスタイルを探せばいいのです。

 

SNSも怖くない！「痛い」と思われない発信のさじ加減

せっかくの素敵な体験、美しい景色、美味しいコーヒー。
SNSでシェアしたいと思うのは自然なことです。

でも、若い子のような「キメ顔の自撮り」をアップするのは気が引けるし、友人に見られたら恥ずかしい…。
そんなあなたに、大人のSNS活用術を伝授します。

 

無理な自撮りやリア充アピールは不要！被写体は「景色と足元」

「痛い」と思われるSNS投稿の共通点は、「私を見て！」「私って幸せでしょ！」という承認欲求が透けて見えることです。

過度な加工をした自撮りドアップや、楽しさを無理にアピールするようなポエム調の文章は、確かに避けたほうが無難かもしれません（もちろん、やりたいならやっていいのですが！）。

 

大人のSNS投稿は、「主観視点」を意識するととても素敵になります。
カメラを自分に向けるのではなく、自分の目が見ている景色に向けるのです。

 

例えば、
・焚き火越しに見える夜空と、自分の足先（お気に入りのブーツ）
・淹れたてのコーヒーから立つ湯気と、その向こうに広がる湖
・テントの入り口から切り取られた、朝日の当たる森

 

このように、「私が見ている美しい世界」を切り取って見せるのです。
これなら顔を出す必要もありませんし、見た人はあなたと同じ視点に立って、その場の空気感や静けさを共有できます。

 

文章もシンプルに。

「今日は久しぶりのソロキャンプ。鳥の声しか聞こえない、贅沢な時間です。」
「焚き火を見ながらのコーヒー、最高。」

そんな短い一文を添えるだけで、あなたの投稿は自慢ではなく、誰かにとっての「癒し」になります。

 

「＃おばさんソロキャンプ」は共感の宝庫！同年代の仲間を見つける方法

SNSは、承認欲求を満たすためだけでなく、孤独を埋め、仲間を見つけるツールとしても優秀です。

InstagramやTwitter（X）で、「＃おばさんソロキャンプ」「＃50代ソロキャンプ」「＃おばキャン」といったハッシュタグを検索してみてください。

 

そこには、驚くほどたくさんの投稿があります。

あなたと同じように、「家族に内緒で来ちゃいました」「設営で失敗しちゃったけど楽しかった」「膝が痛いからコットは必須！」といった、等身大でリアルな、そして楽しそうな同年代の女性たちの声で溢れています。

 

「わかるわかる！私もそうだった！」
「そのギア便利そう！どこのですか？」

 

そんな共感の気持ちが湧いてきたら、思い切って「いいね」やコメントをしてみるのも良いでしょう。
若いキラキラしたインフルエンサーとは違い、同年代のキャンパーさんたちは落ち着いた交流を求めている方が多く、温かく迎えてくれることが多いです。

 

リアルなキャンプ場では声をかけづらくても、SNS上でなら「同志」として繋がれる。

「今度、〇〇県でソロキャンします」と呟けば、「私も近くでやってますよ、楽しみましょうね」とエールが届くかもしれません。

そんな緩やかな繋がりが、あなたの背中をさらに強く押してくれるはずです。
私たちは一人だけど、独りじゃない。そう思えるだけで、勇気が湧いてきます。

 

ソロキャンプのおばさんが痛い訳がない！大人の楽しみ方まとめ

 

 

「痛い」かどうかを決めるのは、通りすがりの他人ではありません。

「あなたが心から楽しんでいるかどうか」。

判断基準は、ただそれだけです。

 

誰かの食事を作る必要も、誰かの機嫌を伺う必要もない。
好きな時に起き、好きなものを食べ、ただ火を見つめる。
自分だけのために時間を消費する。

それは、家族や仕事のために走り続けてきた人生の後半戦を迎えた私たちにとって、何よりの栄養剤になります。

 

周りの目線対策と、最低限の準備さえ整えれば、そこにあるのは「孤独」ではなく、無限に広がる「自由」です。

さあ、お気に入りの椅子を持って、大人のソロキャンプへ出かけましょう。

森の空気は、いつでもあなたを優しく歓迎してくれますよ。