「よし、今日から朝活を頑張るぞ!」
そう意気込んで早起きしたはずなのに、なんだか頭が重くて、胃がムカムカする…。ひどい時には吐き気や頭痛までして、せっかく早起きしたのに午前中が台無しに。
SNSを開けば、朝日を浴びながらヨガをする人、お洒落なカフェで読書をする人、ランニングウェアで爽やかに汗を流す人…。
「朝を制する者は人生を制す」なんて言葉も目にして、キラキラした世界とのギャップに、「もしかして、自分は朝活に向いていない落ちこぼれなのかも…」と落ち込んでしまいますよね。
ご安心ください。その不快な症状は、決してあなただけが経験しているわけではありません。
私自身も、朝活を始めたばかりの頃はひどい頭痛と倦怠感に悩まされ、「早起きは体に悪いんじゃないか」と本気でGoogle検索した時期がありました。憧れの朝活とは程遠い現実に、何度挫折しかけたか分かりません。
実は、多くの人が同じ悩みを抱えており、その原因はあなたの努力不足や根性の問題ではなく、非常にシンプルで、誰にでも起こりうることなのです。
この記事では、長年ブログで健康に関する情報を発信し、かつては「朝活挫折組」だった私が、なぜ朝活で気持ち悪くなるのか、その根本原因を一つひとつ丁寧に解き明かし、今日からすぐに実践できる具体的な対処法までを網羅的に解説します。
この記事を読み終える頃には、不快な症状の正体をきちんと理解し、「これならできそう!」と思える、あなたに合った心地よい朝の過ごし方を見つけられるはずです。
この記事のポイント
- 朝の気持ち悪さは自律神経の乱れが主な原因
- 急な生活リズムの変化は体に大きな負担
- 無理は禁物、まずは5つの原因を正しく理解
- 寝る前・起きた直後の習慣を少し見直すだけで改善可能
- 体質に合わせた「ゆるい朝活」から始めるのが成功の鍵
あなただけじゃない!朝活で気持ち悪くなる人が抱える共通の症状
まず何よりも先にお伝えしたいのは、「この辛さを感じているのは、自分だけじゃないんだ」と心から安心してもらうことです。朝活を始めたばかりの人が「気持ち悪い」「しんどい」と感じる時、その症状にはいくつかの共通点があります。まるで「朝活あるある」のように。
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吐き気・胃のむかつき: 朝食のパンの匂いを嗅いだだけで「うっ…」となる。胃の中に何か重い石があるような不快感が続く。
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ズキズキする頭痛やめまい: 特にこめかみのあたりが脈打つように痛む。立ち上がった時にフワッとめまいがして、壁に手をついてしまう。
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体が鉛のように重い倦怠感: 布団が強力な磁石になったかのように、体が吸い寄せられて起き上がれない。なんとか起きても、一日中、体に重りを引きずっているような感覚。
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午前中ずっと頭が働かない感覚: パソコンの前に座っても、頭にモヤがかかったようで、簡単なメールの返信すら考えられない。何度も同じ文章を読んでしまう。
いかがでしょうか。一つでも「わかる…!」と頷いてしまったものがあれば、それはあなたの体が「ご主人様、新しい習慣にまだ体が追いついていません!もう少しゆっくりお願いします!」と、健気なサインを送っている証拠です。
決して、あなたが朝活に向いていないわけでも、意志が弱いわけでもありません。車だって、冬の寒い朝に急にエンジンをかけてフルスロットルで発進したら、ガクンとエンストしてしまいますよね。
私たちの体もそれと同じ。これから長いお付き合いになる体ですから、焦らず、じっくりと暖機運転をしてあげる時間が必要なのです。
なぜ?朝活で気持ち悪くなる5つの根本原因
では、具体的に私たちの体の中では何が起きているのでしょうか?「何か悪い病気だったらどうしよう…」と一人で不安を抱え込む前に、まずは生活習慣に隠された原因を一緒に探っていきましょう。ほとんどの場合、これからお話しする5つの根本原因のいずれかに、あなたの不調のヒントが隠されています。
原因1:自律神経の急な切り替えスイッチ
私たちの体には、「自律神経」という、体の機能を24時間休むことなく自動でコントロールしてくれる、非常に賢いシステムが備わっています。
この自律神経は、まるでオーケストラの指揮者のような存在。心臓の鼓動、呼吸、体温、消化など、私たちが意識しなくても勝手にやってくれている生命活動のすべてを、見事に調和させてくれています。
この指揮者には二つの顔があります。一つは、心と体をリラックスさせ、休息と回復を促す「副交感神経(ブレーキ役)」。もう一つは、心と体をアクティブにし、パフォーマンスを高める「交感神経(アクセル役)」です。
睡眠中は、ブレーキ役の副交感神経が優位になり、日中の活動で疲れた心身を丁寧に修復してくれています。そして朝、目が覚めるにつれて、指揮者はゆっくりとタクトを振り、ブレーキからアクセルへと、オーケストラの曲調を穏やかに変えていくのです。このおかげで、私たちはスムーズに活動モードに入っていけます。
ところが、スマホのけたたましいアラーム音で叩き起こされるとどうなるでしょう。それは、静かなバラードを演奏しているオーケストラに、突然「今すぐヘビーメタルを演奏しろ!」と命令するようなものです。
指揮者である自律神経は大混乱。アクセルとブレーキを同時に踏んでしまうような状態に陥り、めまい、吐き気、動悸、頭痛といったパニックのサインを体中に送り出してしまうのです。これが、朝の気持ち悪さを引き起こす最大のメカニズムです。
原因2:睡眠の質が低いままの早起き
「睡眠時間はちゃんと7時間とっているのに、なぜかスッキリしない…」
そう感じている方は、「睡眠の質」が低下し、「睡眠負債」が溜まっているのかもしれません。
睡眠は、単純に横になっている時間を確保すれば良いというものではありません。本当に重要なのは、その中身、つまり「どれだけ深く眠れたか」です。
私たちの眠りは、浅い「レム睡眠」と深い「ノンレム睡眠」が約90分のサイクルで繰り返されています。特に、眠り始めの最初の90分に訪れる最も深いノンレム睡眠中に、脳と体の修復を担う「成長ホルモン」が大量に分泌されます。
しかし、寝る直前までスマホの強い光(ブルーライト)を浴びたり、消化に悪いものを食べたりすると、脳が興奮状態になり、この最も重要な「黄金の90分」の眠りが浅くなってしまいます。
結果として、いくら長く寝ても疲れが抜けず、いわば「質の悪いガソリン」しか補給できていない状態で朝を迎えることに。
この「睡眠負債」は、週末に寝だめしたくらいでは到底返済できません。借金と同じで、毎日少しずつ返していくしかないのです。負債が溜まった状態で無理に早起きをすることは、エネルギー不足の体に追加の負担を強いることになり、体は重く、頭も働かないという最悪の朝を招いてしまうのです。
原因3:血糖値の乱高下(モーニングハイポグリセミア)
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、朝の不調、特に頭痛や強い倦怠感は「低血糖」が原因であることも少なくありません。これを「血糖値ジェットコースター」とイメージすると分かりやすいかもしれません。
夕食後、私たちは長い時間何も食べずに眠りにつきます。この間、体は生命活動を維持するために、肝臓に蓄えられたエネルギー源(グリコーゲン)を少しずつ使っています。そして朝、目が覚める頃には、そのエネルギーもかなり少なくなっている状態です。いわば「体のガソリンタンクがほぼ空っぽ」の状態です。
このガス欠状態で急に起き上がって活動を始めると、脳や筋肉にエネルギーが十分に供給されず、血糖値が急低下してしまうことがあります。これが頭痛や倦怠感、冷や汗といった低血糖の症状を引き起こすのです。
さらに厄介なのは、前日の夕食が翌朝に影響を及ぼすケースです。例えば、夜遅くに甘いものや炭水化物をたくさん食べると、血糖値が急上昇します。
すると、それを下げるために「インスリン」というホルモンが大量に分泌され、今度は逆に血糖値が急降下。この乱高下の影響が翌朝まで続き、朝から低血糖状態で目覚める、という悪循環に陥ってしまうのです。
原因4:「夜型」の体内時計とのズレ
「意志が弱いから朝起きられないんだ」と自分を責めていませんか? もしかしたら、それはあなたのせいではなく、生まれ持った「クロノタイプ」が原因かもしれません。
クロノタイプとは、一人ひとりが持つ体内時計のリズムのタイプのことで、遺伝的にある程度決まっていると言われています。大きく分けて、朝に強く日中に活動的な「ヒバリ型」、夜になるほど思考が冴える「フクロウ型」、そしてその中間の「ハチドリ型」があります。
どちらが優れているという話では全くなく、それぞれに得意な時間帯があるというだけのことです。しかし、社会全体のスケジュールは、どうしても「ヒバリ型」に合わせて作られていることが多いですよね。
もしあなたが「フクロウ型」だった場合、無理に朝型の生活をしようとすると、自分の体内時計と社会の時計が常にズレている「ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)」という状態に陥ります。
海外旅行から帰ってきた後のような、あの何とも言えないだるさや頭の重さが、毎日続くようなものです。このズレが慢性化すると、心身に大きなストレスがかかり、気分の落ち込みや体調不良を引き起こす大きな原因となります。
【かんたんクロノタイプ診断】
厳密な診断ではありませんが、ご自身の傾向を知る参考にしてみてください。
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Aが多いあなた → ヒバリ型(朝型)
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Bが多いあなた → フクロウ型(夜型)
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AとBが同数くらい → ハチドリ型(中間型)
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もし何の制約もなければ、何時に寝たい?
A. 22時〜23時頃
B. 深夜0時以降 -
もし何の制約もなければ、何時に起きたい?
A. 6時〜7時頃
B. 9時以降 -
朝起きてすぐ、頭はスッキリしている?
A. 比較的スッキリしている
B. しばらくボーッとしている -
仕事や勉強が最もはかどる時間帯は?
A. 午前中
B. 午後〜夜にかけて -
「目覚ましなしで起きて」と言われたら不安?
A. あまり不安ではない
B. かなり不安
原因5:「やらなければ」という無意識のプレッシャー
これは、特に真面目で向上心が高い方ほど陥りやすい、心の落とし穴です。
「せっかく早起きしたんだから、資格の勉強を1時間やらなきゃ」
「インスタで見るみたいに、ヨガをして、手の込んだ朝食を作って…」
こうした「朝活で何かを成し遂げなければならない」という完璧主義や義務感が、知らず知らずのうちに自分自身を追い詰めていませんか?
私自身、まさにこの罠にハマっていました。朝5時に起き、眠い目をこすりながらTOEICの参考書を開く。しかし、頭は全く働かず、同じページを何度も目でなぞるだけ。結局、何も進まないまま時間だけが過ぎ、「なんて自分はダメなんだ…」と朝から自己嫌悪に陥る。そんな最悪の朝を繰り返していました。
この「やらなければ」というプレッシャーは、体を戦闘モードにするストレスホルモン「コルチゾール」を過剰に分泌させます。
コルチゾールは適量であれば覚醒を促す良い働きもしますが、過剰なストレス下では自律神経のバランスを崩し、体をガチガチに緊張させてしまいます。心がリラックスできていなければ、体が心地よく目覚めることなど、到底できないのです。
【今日からできる】気持ち悪さを解消する10の具体的な対処法
さて、あなたの不調の原因が見えてきたところで、いよいよ具体的な対策に移りましょう。これからご紹介する方法は、どれも「明日からやる」ではなく「今夜からできる」簡単なことばかりです。一つでもいいので、取り入れてみてください。驚くほど朝が楽になるはずです。
【夜編】質の高い睡眠をとるための3つの習慣
心地よい朝は、良質な睡眠という土壌があってこそ芽吹きます。まずは、ぐっすり眠るための最高の環境作りから始めましょう。
1. 就寝90分前の入浴で自然な眠気を誘う
私たちは、体の内部の温度(深部体温)がぐっと下がるときに、自然で強い眠気を感じるようにプログラムされています。この仕組みを最大限に活用するのが、就寝90分前の入浴です。
具体的なやり方:
38〜40℃くらいの、あなたが「気持ちいいな」と感じるぬるめのお湯に、15〜20分ほど肩までしっかり浸かります。熱すぎるお湯は交感神経を刺激してしまうので逆効果です。入浴で一時的に上がった深部体温が、お風呂上がりにゆっくりと放熱され、ちょうど90分後に最高の眠気が訪れるという算段です。リラックス効果のあるラベンダーやカモミールのアロマオイルを数滴垂らすのもおすすめです。
2. スマホやPCは就寝1時間前にオフにする
もはや耳にタコができるほど言われていることですが、それだけ効果は絶大です。スマホやPCが放つブルーライトは、睡眠を司るホルモン「メラトニン」の分泌を強力に抑制してしまう「眠りの天敵」です。
具体的なやり方:
就寝1時間前になったら、「デジタル・デトックスタイム」の始まりです。スマホは強制的に充電器に繋ぎ、手の届かない場所に置きましょう。そして、代わりに読書(電子書籍ではなく紙の本が理想)、穏やかな音楽を聴く、日記を書く、軽いストレッチをするなど、あなたなりのリラックスできる時間に切り替えるのです。最初は手持ち無沙汰に感じるかもしれませんが、この静かな時間が、脳をクールダウンさせ、質の高い眠りへと誘ってくれます。
3. カフェインや快眠を助ける飲み物を選ぶ
夕方以降の飲み物選びも、睡眠の質を大きく左右します。コーヒーや緑茶、エナジードリンクに含まれるカフェインには強い覚醒作用があり、その効果は長い人だと8時間以上も体内に留まります。
具体的なやり方:
夕食後や寝る前には、リラックス効果のあるノンカフェインのハーブティーを選びましょう。特におすすめなのが、心を落ち着かせる効果で知られる「カモミールティー」や、ミネラル豊富で安眠効果が期待できる「ルイボスティー」です。温かい飲み物は内臓を温め、副交感神経を優位にしてくれるので、心身ともにリラックスモードに入りやすくなります。
【朝編】体に負担をかけない5つのステップ
次に、目が覚めてから起き上がるまでの「朝の儀式」です。乱暴に叩き起こすのではなく、体に「おはよう、そろそろ起きる時間だよ」と優しく語りかけるイメージで行いましょう。
4. 目覚ましより先に、太陽光で体内時計をリセット
私たちの体内時計は、約24時間11分と、実際の24時間より少し長めにできています。この微妙なズレを毎日リセットしてくれるのが「太陽の光」です。けたたましいアラーム音で強制終了させられる前に、自然の光で目覚めるのが、体にとって最も負担のない覚醒方法です。
具体的なやり方:
寝る前に、遮光カーテンを5〜10cmほど開けておくだけ。たったこれだけです。朝日が昇るにつれて部屋がゆっくりと明るくなり、その光がまぶたを通して脳に届くことで、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が自然に止まり、覚醒ホルモン「セロトニン」の分泌が始まります。
5. 起き上がったらまず、コップ1杯の「白湯」をゆっくり飲む
睡眠中にコップ1杯分もの汗をかくと言われる私たちの体は、朝には軽い脱水状態になっています。この乾いた体に潤いを与え、冷えた内臓を優しく温めて活動のスイッチを入れるために、朝一番の白湯は最高の目覚ましドリンクです。
具体的なやり方:
電子レンジやケトルで温めたお湯を、少し冷まして人肌より温かい程度の「白湯」を作ります。それを、椅子に座って、焦らず10分くらいかけてゆっくりと味わうように飲んでみてください。胃腸がじんわりと温まり、全身の血の巡りが良くなっていくのを感じられるはずです。レモン汁を少し加えると、ビタミンCも補給できておすすめです。
6. 布団の上でできる5分間の簡単ストレッチで血流を促す
まだ完全に目覚めていない体で、急に立ち上がって活動を始めるのは、寝起きのエンジンにいきなり高負荷をかけるようなもの。まずは布団の中でできる簡単なストレッチで、凝り固まった筋肉をほぐし、全身に血液を送り届けてあげましょう。
具体的なやり方(3つのポーズ):
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両膝かかえのポーズ(ガス抜きのポーズ): 仰向けのまま、両膝を胸に引き寄せ、手で抱えます。ゆっくりと呼吸をしながら、腰や背中が心地よく伸びるのを感じます。内臓を優しく刺激し、働きを活発にします。
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猫の伸びのポーズ: 四つん這いになり、息を吐きながらお尻を後ろに引き、両腕を前に伸ばして胸を床に近づけます。猫が気持ちよさそうに伸びをしている姿をイメージ。肩甲骨周りや背中全体がほぐれます。
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ワニのポーズ: 仰向けになり、両腕を肩の高さで左右に広げます。右膝を立て、息を吐きながらその膝を左側に倒します。顔は右側へ。腰回りをねじることで、背骨の歪みを整え、自律神経のバランスを調整します。反対側も同様に行います。
7. 朝食は無理に食べない。バナナ1本やプロテイン飲料から
朝、食欲がないのに「健康のために食べなきゃ」と無理に食事を詰め込むのは、まだ準備運動もしていない胃腸にとって大きな負担です。気持ち悪い時は、無理に固形物を食べる必要はありません。
具体的なやり方:
まずは、消化が良く、すぐにエネルギーに変わるものから試してみましょう。例えば、カリウムが豊富な「バナナ」、吸収の早い「プロテイン飲料」や「ヨーグルトドリンク」、体を温める「具なしの味噌汁」や「野菜スープ」などです。これらで胃腸を起こしてあげて、お腹が空いてきたらおにぎりなどを食べる、という二段階の朝食も良い方法です。
8. 最初の朝活は「白湯を飲むだけ」「ストレッチするだけ」でOKにする
「早起きしたからには、何か生産的なことをやらなければ!」という考えは、一旦、ゴミ箱に捨ててしまいましょう。朝活成功の最大の秘訣は、「ハードルを極限まで下げる」ことです。
具体的なやり方:
最初の1週間は、「いつもより15分早く起きて、白湯を飲んで、ストレッチをする」こと自体を、あなたの立派な「朝活」の目標にするのです。この「何もしない時間」「ぼーっとする時間」が、心と体の余裕を生み出し、結果的に朝の不調を改善する一番の近道になります。
【日中編】体質から改善する2つのポイント
夜と朝の習慣に加えて、日中の過ごし方も未来の朝を変える大切な要素です。体質そのものを、朝に強い状態へと少しずつ育てていきましょう。
9. 日中に軽いウォーキングなどを行い、幸せホルモン「セロトニン」を分泌させる
日中の活動は、夜の睡眠と密接に連携しています。特に、太陽の光を浴びながらリズミカルな運動(ウォーキングや軽いジョギングなど)をすると、「セロトニン」という神経伝達物質が脳内で活発に分泌されます。
セロトニンの素晴らしい働き:
セロトニンは、精神を安定させて幸福感を高めることから「幸せホルモン」とも呼ばれます。そして、このセロトニンは、日が暮れると、今度は睡眠ホルモン「メラトニン」の材料になるのです。つまり、日中にセロトニンをしっかり分泌させておくことが、夜の深い眠りを生み出し、翌朝のスッキリとした目覚めを約束してくれる、という好循環を生み出します。ランチタイムに少し遠くの公園まで歩く、一駅手前で降りて歩くなど、日常生活の中に組み込んでみましょう。
10. 起床時間を「1週間かけて1時間」のように、15分単位で少しずつ早める
いきなり1時間早く起きようとするのは、時差が1時間の国へ、準備なしで瞬間移動するようなものです。体が変化に対応できず、悲鳴を上げるのは当然です。私たちの体は急激な変化を嫌い、現状を維持しようとする性質(ホメオスタシス)を持っています。
成功率が格段に上がる方法:
体に気づかれないように、少しずつ、だましだまし変えていくのが成功のコツです。「今週は、いつもより15分だけ早く起きる」と決め、まずはそれをクリアする。体が慣れてきたら、来週はさらに15分早く…というように、ベビーステップで進めていきましょう。この方法なら、体への負担も少なく、挫折することなく、1ヶ月後には1時間早く起きる習慣が自然と身についているはずです。
要注意!多くの人が陥る「残念な朝活」3つの勘違い
ここで少し、朝活に対する考え方そのものを見直してみましょう。もしかしたら、あなたの不調は、朝活に対する「勘違い」から生まれているのかもしれません。
勘違い1:早起きこそが正義だという思い込み
朝4時や5時に起きている人の話を聞くと、なんだかすごい人のように感じて、「自分もそうならなきゃ」と焦ってしまいがちです。しかし、大切なのは「何時に起きるか」ではなく、「自分にとって十分な睡眠時間を確保した上で、心地よく起きられるか」です。睡眠時間を削っての早起きは、パフォーマンスを上げるどころか、日中の集中力や判断力を著しく低下させる「偽りの朝活」でしかありません。
勘違い2:毎日やらないと失敗だという完璧主義
「一度でも寝坊したら、もう自分はダメだ…」と、0か100かで考えてしまうのも、挫折への最短ルートです。朝活は、毎日続ける義務などありません。体調が優れない日、前の日に夜更かししてしまった日などは、思い切って休んでいいのです。週に2〜3回できれば上出来、くらいの軽い気持ちで臨む方が、結果的に長く続けることができます。
勘違い3:生産的な活動以外は無価値だという固定観念
「朝活=勉強・運動・仕事」という固定観念に縛られていませんか? 朝の時間は、何かを生み出すためだけにあるのではありません。ただ静かにお気に入りの音楽を聴く、丁寧にコーヒーを淹れる、窓の外をぼーっと眺める…。そうした「何もしない時間」こそが、情報過多な現代において、心を整え、一日を穏やかに始めるための最高の贅沢であり、立派な朝活なのです。
それでも改善しない…朝活を諦める前に考えるべきこと
あなたは「夜型人間」かも?無理のない朝活のすすめ
ここまでご紹介した方法を全て、根気強く試してみた。それでも、どうしても朝の不調が改善しない…。もしそうであれば、あなたは遺伝的に「フクロウ型」のクロノタイプで、朝活というスタイル自体が、あなたの体に合っていないのかもしれません。
どうか、それで自分を責めないでください。それは、短距離選手に「明日からマラソンを走れ」と言うようなものです。夜型であることには、創造性が高まったり、複雑な問題をじっくり考えられたりといった、素晴らしいメリットもたくさんあります。
その場合は、無理に世間一般の「朝活」に自分を合わせるのではなく、発想を転換してみましょう。あなたのパフォーマンスが最も高まる「夜の時間」を、自分だけのゴールデンタイムとして有効活用する「夜活」に切り替えるのも、非常に賢明な選択です。あるいは、「10分だけ早く起きて、静かにコーヒーを飲む時間を作る」という、あなただけのささやかな「ゆるい朝活」が、心と体に一番フィットするのかもしれません。
「気持ち悪さ」を乗り越えてまで続ける価値はある?
ここで、この記事で最も大切な問いにお答えします。それは、「不快な症状を我慢してまで、無理やり朝活を続ける価値はあるのか?」という疑問です。
私の答えは、断固として「NO」です。心と体の悲鳴を無視してまで続ける価値は、全く、一切ありません。
朝活の本当のメリットである「生産性の向上」や「精神的な安定」「自己肯定感の高まり」といった素晴らしい果実は、心と体が健康で、リラックスしているという土壌があって初めて実るものです。気持ち悪さを我慢して机に向かっても、パフォーマンスが上がるはずがありません。それはもはや自己投資ではなく、自己犠牲です。
まずは、あなたの心と体を健やかな状態に整えること。それを、何よりも、誰よりも、あなた自身が最優先してあげてください。
【注意】こんな症状が続くなら専門医への相談も
最後に、とても大切なことをお伝えします。この記事でご紹介した方法は、あくまで生活習慣に起因する一時的な不調を対象としています。
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めまいが頻繁に起こり、まっすぐ歩けない、天井がぐるぐる回る
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吐き気が一日中続き、実際に何度も嘔吐してしまう
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起き上がれないほどの強い倦怠感が何日も続き、日常生活に支障が出ている
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気分の落ち込みが激しく、何にも興味が持てない
もし、このような症状が続く場合は、単なる不調ではなく、メニエール病や起立性調節障害、うつ病といった、専門的な治療が必要な病気が隠れている可能性も否定できません。その際は、一人で抱え込まず、ためらわずに専門医に相談してください。具体的には、内科、耳鼻咽喉科、そして自律神経の不調を専門とする心療内科などが相談窓口になります。
最高の朝活を習慣づけるためのまとめ
朝活で気持ち悪いと感じてしまうのは、あなたの努力が足りないからでも、根性がないからでもありません。それは、あなたの体が「急な変化にびっくりしているよ!もう少し優しくしてね!」と、あなたに一生懸命に伝えてくれている、健気で正直なサインなのです。
今回ご紹介した、心地よい朝を迎えるためのポイントを、最後にもう一度おさらいしましょう。
まとめ
- 朝の不調の主な原因は「自律神経」「睡眠の質」「血糖値」の乱れ
- 心地よい朝は、前日の「質の高い睡眠」から始まっている
- いきなり1時間早く起きるのではなく、15分単位のベビーステップで徐々に慣らす
- 朝一番の「太陽の光」と「白湯」が、体の目覚めスイッチを優しく押してくれる
- 「やらなければ」という完璧主義を手放し、「何もしない朝時間」を自分に許可する
- どうしても辛いなら、無理に朝型に合わせる必要は全くない。自分に合ったスタイルを見つけることが最重要
完璧な朝を、最初から目指す必要はありません。
まずは今夜、いつもより少し早くスマホを置いて、温かいハーブティーを飲んでみる。
明日の朝、たった5分だけ早く起きて、布団の中で気持ちよく伸びをしてみる。
そんな、誰にも褒められないような小さな一歩が、実はあなたの朝を、そしてあなたの一日を、ひいてはあなたの人生を、豊かに変えていく最も確実な一歩です。
焦らず、他人と比べず、ご自身の体と優しく対話しながら、あなたにとって最高に心地よい、あなただけの朝時間を見つけていけるよう、心から応援しています。