お子様のご入学、本当におめでとうございます。
ピカピカのランドセルや、少し大きめの真新しい制服。その姿をどれだけ心待ちにしていたことでしょう。親として、感慨もひとしおですよね。
しかし、そんな家族にとって一生の思い出になる晴れの日に、天気予報が告げるのは、あいにくの「雨」マーク…。
「せっかく新調したスーツが濡れてしまう…」
「革靴はどうしよう? まさかシミになったりしないか?」
「そもそも、スーツの上にコートなんて着ていっていいんだろうか? マナー違反じゃないか?」
「雨に濡れてヨレヨレの姿で、子供の同級生や先生に会うのは…恥ずかしい」
大切な日だからこそ、絶対に失敗したくない。そんな不安や疑問が頭をよぎり、喜びと同時に、少し憂鬱な気持ちになっているお父さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
私自身も数年前、息子の入学式がまさかの土砂降りでして、「どうしよう!」と朝から夫婦でバタバタした苦い記憶があるのです。あの時は、準備も中途半端。結局、靴下はびしょ濡れ、スーツの裾は泥はねだらけ…という、今思い出しても赤面するような状態でした。
でも、ご安心ください。
あの日の大失敗があったからこそ、私は学びました。
雨の日の式典は、「事前の準備」と「当日のちょっとしたコツ」さえ知っていれば、決してマイナスなことばかりではありません。
むしろ、多くの人が準備不足で慌てる中で、しっかりと対策を講じ、スマートに振る舞う姿は、周囲の目に「ああ、あの人、素敵だな」「デキるお父さんだな」と映ります。
そう、雨の日は、あなたという父親の「準備力」と「対応力」、そして「家族への配慮」をアピールできる、絶好の「舞台」でもあるのです。
この記事では、「雨の日の入学式における父親の服装」という非常にピンポイントですが切実な悩みに焦点を当て、単なるマナーの解説に留まらず、具体的な対策アイテム、必要な持ち物、そして会場でのスマートな振る舞い、さらには帰宅後のケアまで、あなたの不安を「絶対的な安心」に変える全ての情報を、私の失敗談も交えながら、余すところなく詰め込みました。
この記事を読み終える頃には、あなたは雨の日の入学式が「むしろ楽しみ」とさえ思えるようになっているはずです。
この記事のポイント
・雨の日のコート(トレンチ・ステンカラー)はマナーOK、むしろスーツ保護に推奨
・革靴は「防水スプレー」が必須、撥水加工やラバーソールがベスト
・傘は「黒か紺の無地」を選び、ビニール傘は避ける
・持ち物は「タオル」「靴下の替え」「傘用ビニール袋」が必須
・会場に入る前に、濡れた裾やカバンをタオルで拭き、身だしなみを整える
🌧️ 雨の日の入学式、父親の基本服装とコートのマナー
まず、多くのお父さんが最初に悩む「服装」と、その最大の防御策である「コート」のマナーから、ハッキリさせていきましょう。雨の日は、晴れの日にはない「守り」の視点、すなわち「スーツをいかに守るか」が最優先課題となります。
スーツの上にコートはOK? 選び方とマナー
結論から申し上げますと、スーツの上にコートを着ていくのは、全く問題ありません。むしろ「強く推奨」します。
「式典なのにコート?」「会場で邪魔にならない?」と心配される気持ち、よく分かります。私も最初はそう思っていましたから。
しかし、理由はとてもシンプルです。
理由:大切なスーツを雨や汚れから守るため
入学式のために用意した、あるいはクローゼットの奥から出した勝負スーツ。その多くは、ウール(羊毛)などのデケートな素材が使われているはずです。
ウールは水分を含むと、繊維の表面にある「キューティクル」が開いてしまい、型崩れや縮みを起こしやすくなります。さらに、雨水に含まれるホコリやチリが染みとなり、一度乾いてもシミや匂いの原因になりかねません。
コートは、そんなデケートなスーツを雨や泥はねから守ってくれる「大切な鎧(よろい)」であり、「動く傘」のようなもの。
想像してみてください。雨風に打たれて肩や背中がびっしょり濡れたヨレヨレのスーツで式典に参加する姿…。それよりも、コートでしっかりスーツを守り、会場でそのコートを脱いだ時にビシッとした姿でいるほうが、よほどスマートだと思いませんか?
とはいえ、もちろん、どんなコートでも良いわけではありません。ここでTPO(時・場所・場合)をわきまえた選択が、大人の父親として問われます。
- OKなコート(推奨):
- トレンチコート:元々は第一次世界大戦中に英国軍が着用した軍用コートが起源です。それだけに機能性(防水性・耐久性)は抜群。スーツとの相性も最高で、知的でクラシックな印象を与えます。まさに王道中の王道です。
- ステンカラーコート:「バルマカーンコート」とも呼ばれますね。トレンチコートよりもデザインがシンプルで、装飾が少ないのが特徴です。そのシンプルさゆえに、よりフォーマルで誠実な印象を与えます。
- スプリングコート:春先の着用を前提とした、薄手で軽い素材(コットンやポリエステルなど)のコート。防寒性よりも「雨よけ」と「チリ・ホコリよけ」の役割が強いです。
- OKなコートの色選びのヒント:
- 黒・紺(ネイビー): 最もフォーマルで間違いのない色です。スーツの色ともケンカせず、引き締まった印象を与えます。
- ベージュ・グレー: 春らしい軽快さを演出できます。ただし、ベージュは雨の日の「泥はね」が目立ちやすいというデメリットもあるので、防水スプレーなどでしっかり対策しておく必要があります。
- NGなコート(避けるべき):
- ダウンコート・中綿ジャケット: 明らかに「防寒着」であり、モコモコとしたカジュアルなシルエットは式典にふさわしくありません。
- アウトドア系マウンテンパーカー: 高機能ですが、デザインがカジュアルすぎます。
- レザーコート、デニムジャケット: 論外ですね。
- 派手な色や柄物: 主役はあくまで子供たちです。父親は品良く、一歩引いた服装を心がけましょう。
悩みへの回答:「荷物になる」問題について
「コートが荷物になる」という懸念は、その通りです。特に体育館のパイプ椅子では、置き場所に困ることも…。
これについては、心配ご無用です。
後ほど「会場到着後のスマートな振る舞い」の章で、濡れたコートのスマートな畳み方と、周囲に迷惑をかけない置き場所を詳しく解説しますね。
この方法さえ知っていれば、コートが荷物になるデメリットよりも、スーツを守れるメリットが間違いなく上回ります。
スーツが濡れた場合の懸念点と基本対策
では、もしコートを着ていなかったり、コートを着ていても(強い雨などで)スーツが濡れてしまったりした場合はどうでしょう。
前述の通り、ウール素材のスーツは水分が大の苦手です。
濡れたスーツをそのまま放置すれば、型崩れやシミのリスクが現実のものとなります。
もし濡れてしまったら「こすらず」、タオルで「押さえる」
万が一、スーツが濡れてしまったら、絶対に「こする」のはやめてください。
濡れた布地をこすると、繊維が毛羽立ったり、雨水に含まれる汚れが繊維の奥に擦り込まれたりして、余計に事態を悪化させます。
持参した清潔なタオルやハンカチ(吸水性の良いものがベスト)で、水分を「吸い取る」ように優しく、ポンポンと押さえてください。
アウター(コート)で物理的に守ることが最善策
見てきたように、濡れた後の対処は非常にデリケートで、応急処置にすぎません。
ですから、やはり最初から「濡らさない」こと、つまりアウター(コート)で物理的に守ることが、雨の日の入学式における服装マナーの最適解と言えます。
👟 万全の雨対策!「足元」と「持ち物」完全ガイド
服装(上着)の戦略が決まったら、次は「見落としがちなのに、当日の快適さを決定的に左右する」足元と持ち物の準備です。
「できる父親」は、この細部へのこだわりが違います。私自身、この準備を怠って「靴下が濡れた不快感」で式典にまったく集中できなかった経験があるからこそ、ここは強く、しつこいくらいにお勧めしたいポイントです。
最重要!革靴が濡れる問題の「事前対策」と「当日対策」
雨の日の外出で一番憂鬱なのが「靴」ですよね。お気に入りの革靴なら尚更です。
かといって、式典に長靴やスニーカーで行くわけにもいきません。ここは「事前対策」で万全を期しましょう。
事前対策:前日までに革靴用「防水スプレー」を必ずかけておく
これはもう「必須装備」です。「お守り」ではありません。入学式が決まったら、天気予報に関わらず、履いていく予定の革靴にはスプレーしておくと決めておきましょう。
【防水スプレーのちょっとした豆知識】
防水スプレーには大きく「フッ素系」と「シリコン系」があります。
- フッ素系: 繊維1本1本をコーティングします。通気性を損なわず、水も油も弾くので、革靴にはこちらが断然おすすめです。
- シリコン系: 表面に膜を張るタイプ。安価ですが、通気性が悪くなり、革の呼吸を妨げる可能性があるので、革靴には不向きです。
【防水スプレーの正しいかけ方】
- 前日までに(理想は2〜3日前)、靴のホコリや汚れをブラシでしっかり落とします。(汚れの上からスプレーしても効果半減です)
- 風通しの良い屋外で、靴から20〜30cm離してスプレーします。
- 全体がしっとりする程度にムラなくかけます。(一箇所に集中噴射はNG)
- 縫い目や革の切り替えし部分は、水が染み込みやすいので少し念入りに。
- そのまま最低でも30分以上、しっかり乾燥させます。(可能なら、乾いた後にもう一度かけると、防水効果は完璧に近くなります)
私もうっかりスプレーを忘れて出かけ、靴に雨ジミを作ってしまった苦い経験があります。前日の夜、玄関で「入学式準備の儀式」として、ぜひ実行してください。
当日対策(靴選び):撥水加工の革靴、ラバーソール(ゴム底)が最強
もしお持ちであれば、雨の日に強い革靴を選びましょう。
- 撥水加工が施された革靴(最近はビジネスシューズでも増えています)
- ラバーソール(ゴム底)の靴(例:ダイナイトソールなど)
- 革底の靴は、エレガントですが水が染み込みやすく、何より濡れた路面や体育館の床で「驚くほど滑りやすい」のです。ラバーソールなら、その心配が格段に減ります。
わざわざ「雨用の靴」を新調する必要はありません。ですが、もし複数の革靴をお持ちなら、「雨に強い靴を選ぶ」という意識が、当日の快適さを大きく左右します。
避けるべき靴:スエード素材、靴底が革のもの
スエードやヌバックなどの起毛素材は、水を含むと一発でシミになりやすく、お手入れも非常に大変です。雨の日は絶対にお休みさせましょう。革底も前述の理由で避けるのが無難です。
もし「革底の良い靴」しか持っていなかったら…?
「入学式だからこそ、一番良い革底の靴を履きたい!」というお父さんもいらっしゃるでしょう。その心意気は素晴らしいです。
その場合の最終手段は、
- 防水スプレーを「これでもか」というくらい(2〜3度)かけておく。
- 移動はタクシーを利用し、歩く距離をゼロに近づける。
- 車移動なら、会場の本当にギリギリ(軒下など)で降りる。
- 「替えの靴下」は絶対に持参する。という、VIP待遇で靴を守り抜く覚悟が必要です。
意外と目立つ「スラックスの裾」の雨・泥はね対策
自分では見えにくいのですが、スラックスの裾、特に後ろ側(ふくらはぎあたり)は、歩行中の泥はねで驚くほど汚れています。
体育館のパイプ椅子に座った時、後ろに座った人から丸見え…なんて事態は、想像しただけでも避けたいですよね。
対策1:防水スプレーはスラックスの裾にもかけておく(最重要)
靴にかけるついでに、スラックスの裾(地面から15cmくらいまで)にも、サッとかけておきましょう。ウール素材にも使えるフッ素系のスプレーなら安心です。
汚れの付着が格段に変わります。これは本当に効果絶大です。
対策2:会場に入る前にタオルで軽く拭う
これは後述の「身だしなみチェック」で詳しく解説しますが、会場に入る前に必ず「振り返るようにして」裾の後ろ側をチェックし、汚れていたら持参のタオルで拭いましょう。
対策3(上級テク):移動中は靴下を履き替える前提で、裾を少し折る
これはあくまで移動中の荒業ですが、靴下が濡れるのを防ぐために、移動中(歩行中)だけスラックスの裾を内側に一回小さく折る、という手もあります。
ただし、折りジワがつくリスクもありますし、会場に着いたらすぐに直す必要があります。あくまで緊急避難的なテクニックとして覚えておくと良いかもしれません。
父親にふさわしい「傘」と「カバン」の選び方
小物類も「ハレの日」仕様にアップデートしましょう。こういう細部にこそ、その人の「品格」は現れるものです。
傘の選び方:ビニール傘は「絶対」に避ける
手軽で便利なビニール傘。普段使いなら何の問題もありません。
しかし、この日は別です。ビシッと決めたスーツ姿の父親が、手元だけ使い古した(あるいは新品でも)ビニール傘では、全体が途端にチープで「間に合わせ」な印象になってしまいます。
黒・紺・グレーなどの無地で、しっかりとした骨組みの、大きめな紳士傘を準備しましょう。
良い傘は、差している姿を美しく見せてくれます。たったこれだけで、佇まいが格段に良くなり、「準備をちゃんとしてきた、しっかりしたお父さん」という印象を与えられます。
カバンの選び方:素材と「自立」がカギ
入学式では、ビデオカメラ、スリッパ、A4の書類(学校から配られる)など、意外と荷物が増えるものです。
- ベストな素材:撥水ナイロン、高密度ポリエステル
- 雨に強く、軽く、実用的です。最近はナイロン素材でも高級感のあるビジネスバッグ(ブリーフケース)が沢山あります。
- 次点:革製カバン(ただし要ケア)
- もし、普段愛用しているのが革製のカバンなら、靴と同様に防水スプレーをかけておくことをお忘れなく。
- 形状:自立するタイプがおすすめ
- 体育館の床や椅子の横に置く際、カバンが「自立」するかどうかは非常に重要です。くたっと倒れるカバンは、床の水分や汚れを吸ってしまいますし、何よりだらしなく見えます。
悩みへの回答:濡れた革カバンのお手入れ
もし革カバンが濡れてしまったら、スーツと同様に「こすらず」「押さえる」ようにタオルで水分を拭き取ります。
帰宅後、中に新聞紙などを詰めて形を整え、風通しの良い日陰でしっかり乾かしましょう(ドライヤーや直射日光は革が硬化するのでNGです)。
これで安心!「ヨレヨレ」を防ぐ必携持ち物リスト
当日の「困った!」を「よかった!」に変えるため、以下のアイテムをカバンに忍ばせておいてください。これらは、雨の日の入学式における「三種の神器」と言っても過言ではありません。
- 1. タオル・ハンカチ(少し大きめのもの)
- 用途: 濡れた手、顔、カバン、スラックスの裾、靴などを拭くため。
- 選び方: 普段持ち歩くコットンのハンカチとは別に、吸水性の高いマイクロファイバータオル(30cm四方くらい)が1枚あると最強です。薄手でかさばらず、驚くほど水分を吸ってくれます。
- 2. 靴下の替え(必須中の必須)
- これが当日の快適さを決定的に左右する最大の功労者です。
- どんなに靴をケアしても、浸水してしまうことはあります。靴下が濡れたまま体育館で過ごすのは、本当に不快で、寒くて、子供の晴れ姿どころではありません。
- 私自身、あの土砂降りの入学式で唯一やっていて良かったことが、これでした。昇降口の隅でこっそり靴下を履き替えた瞬間の、あの「生き返るような感覚」は忘れられません。
- カバンの底に、薄手のビジネスソックス1足、絶対に忍ばせてください。
- 3. 濡れた傘を入れるビニール袋
- 用途: 濡れた折りたたみ傘や、長傘を一時的に入れるため。
- 選び方: 学校側で傘袋が用意されていない場合に備え、スーパーの袋などで構わないので持参しましょう。100円ショップなどで売っている、ジップロック式の大きな袋や、濡れた傘用のケースでもスマートですね。
- 4. (車移動の場合)車に置いておくバスタオル
- これは車移動の方限定ですが、駐車場から乗り込む際に、自分や荷物をガサッと拭けるバスタオルが1枚あると、車内を濡らさずに済み、非常に便利です。
🏫 会場到着後(車から降りた後)のスマートな振る舞い
さて、万全の準備を整えて、いよいよ会場に到着です。
しかし、本当の勝負はここから。雨の日だからこそ試される「スマートな振る舞い」で、格好いい父親の総仕上げをしましょう。
車から会場まで、スーツを濡らさない移動のコツ
駐車場から昇降口まで、たとえ短い距離でも油断は禁物です。
対策:子供や妻(母親)を屋根のある場所で先に降ろし、父親が駐車場へ
これが最もスマートで、家族からも尊敬される方法です。
まず、学校の昇降口など、屋根のある場所に車を寄せ、お子様と奥様(母親)を荷物ごと降ろします。
「先に入ってて。荷物よろしく!」
そう声をかけ、お父さんだけが車を駐車場に停めに行きます。
もちろん、お父さん自身は駐車場から一人で雨の中を歩くことになります。しかし、準備万端のあなたは、大きめの紳士傘を広げ、コートでスーツを守り、ラバーソールの靴で滑ることもなく、堂々と歩くことができます。
この一連の行動こそが、「家族を守る父親」の姿そのものです。
対策:焦らず、しっかりとした傘を深く差して歩く
駐車場から歩く際は、絶対に焦らないこと。
焦って小走りになると、足元からの泥はねが最もひどくなります。
持参した大きめの傘をしっかり深く差し、一歩一歩、落ち着いて歩きましょう。その落ち着きが、大人の余裕として映ります。
会場到着!濡れたコートと傘の「置き場所」問題
会場に到着して、まず直面するのが「この濡れたコートと傘、どうする?」問題です。ここで慌てるか、スマートに対処できるかで、印象は天と地ほど変わります。
ケース1(学校の対応):入り口に傘立てやコート掛けが用意されている場合
用意されている場合は、ありがたく使わせていただきましょう。
その際、入り口の「手前」(軒下など)で、傘やコートの水気をしっかり切るのが、後に続く人のための絶対的なマナーです。
周囲に水滴を飛ばさないよう、傘はまとめてバサバサ振らず、コートも優しく振るう程度に。この「周囲への配慮」ができるかどうかが、試されています。
ケース2(各自対応):用意がない場合(ほとんどこのケースです)
体育館などでは、コート掛けなど無いのが普通です。各自で管理するのが基本です。
- 傘の対処法:
- 長傘の場合: 持参のビニール袋(スーパーの袋など)に入れます。袋の取っ手を椅子の背もたれやフックに結びつけ、床にだらしなく置かないようにすると、さらにスマートです。
- 折りたたみ傘の場合: 同様に袋に入れ、カバンにしまいます。
- 濡れたコートの対処法(最重要テクニック):
- ここが最大のポイントです。濡れたコートをそのまま椅子の背もたれに掛けると、背もたれを濡らし、さらに後ろの人の服や荷物を濡らしてしまう最悪の「マナー違反」になります。
- 手順1: まず、ここでも水気を軽く切ります。
- 手順2: コートを「裏返し」にします(濡れた表面が内側になるように)。
- 手順3: その状態で軽く畳み(袖を内側に畳むなど)、椅子の「背もたれ」に掛けるのではなく、自分の「膝の上」か、椅子の「座面」(自分の太ももの下)に敷きます。
- こうすれば、誰にも迷惑をかけませんし、コートが床について汚れることもありません。
- 私自身、この「裏返して膝の上に置く」を知ってからは、雨の日の室内でスマートに振る舞えるようになりました。これだけで、周囲への配慮ができる大人として、非常に格好良く見えますよ。
体育館に入る直前!「身だしなみ」最終チェック
式典が始まる体育館や講堂に入る「その直前」が、最後の砦であり、最大のチャンスです。
悩み:濡れてヨレヨレで恥ずかしい思いをしたくない
その気持ち、痛いほどわかります。最後の「一手間」を惜しまないでください。それは「舞台袖の役者が、鏡の前で最後にもう一度、衣装を整える」行為に似ています。
チェック場所:昇降口や体育館の入り口の「軒下」など、雨が当たらない最後の場所
【父親の最終身だしなみチェックリスト(所要時間:わずか1分)】
- 持参のタオル(マイクロファイバータオル)を取り出す
- 足元チェック: 靴についた泥はねや水滴をタオルでサッと拭き取ります。靴が綺麗なだけで、全体の印象は驚くほど変わります。
- 裾チェック: スラックスの裾(特に後ろ!)が濡れたり汚れたりしていないか確認し、汚れていたらタオルで拭います。
- カバンチェック: カバンの水滴も拭き取っておきます。
- (必要な場合)靴下の履き替え: もし靴下が濡れて不快なら、恥ずかしがらず、昇降口の隅などで履き替えます。この快適さが式典への集中力を生みます。
- 髪型チェック: 雨の湿気で髪型が崩れがちです。手ぐしでサッと整えるか、小さなコーム(くし)をカバンに忍ばせておくのも上級者です。
このわずか1〜2分の一手間が、式典中に「ビシッとしたお父さん」でいられるかどうかを分けるのです。
🏫 さらなる安心を!雨の日Q&Aと帰宅後ケア
これまでの対策でほぼ万全ですが、それでも残る細かな疑問や、「終わった後」のことについてもお答えしておきます。ここまでやれば完璧です。
Q1. 予報が「午後から雨」の場合はどうしますか?
A. 難しい問題ですが、「降る」と想定して準備するのが正解です。
一番最悪なのは、式典の帰り道で降られてしまい、せっかくの晴れやかな気分も、スーツも台無しになることです。
薄手のスプリングコート(畳んでカバンに入るくらい)を持っていくか、最低でも「大きめの紳士傘」と「替えの靴下」だけは持参しましょう。
Q2. 体育館って、雨の日だと寒くないですか?
A. めちゃくちゃ寒いです。特に足元から底冷えします。
雨の日の体育館は、湿気と寒さが入り混じった独特の環境です。
対策として、
- 高機能インナー: スーツの下に、薄手で保温性の高いインナー(ヒートテックなど)を1枚着ておくと、全く違います。
- 貼るカイロ: ベストやスーツの下(腰や背中)に1枚貼っておくと、見えない防寒対策として最強です。
- スリッパ: 学校指定のスリッパは底が薄いことが多いです。もし持参可能なら、少し底が厚めのものを選ぶと、床からの冷えを軽減できます。
Q3. 帰宅後、濡れたスーツと靴の「正しいケア方法」を教えてください
A. これが一番重要です。当日の振る舞いが完璧でも、アフターケアを怠ると、高価なスーツも靴も一発でダメになります。
【濡れたスーツの帰宅後ケア】
- すぐにタオルで拭く: まず、乾いたタオルでスーツ全体の水分を「押さえる」ように拭き取ります。
- ハンガーにかける: 必ず「厚みのある木製ハンガー」にかけます。細いハンガーは型崩れの原因です。スラックスも裾を上にして吊るします。
- 風通しの良い日陰で乾かす: 直射日光やエアコンの温風は絶対にNG。浴室乾燥機も高温すぎる場合があります。風通しの良い部屋で、扇風機などの「風」を当てるのがベストです。
- 完全に乾いたら: 必要であれば、スチームアイロンを少し浮かせてかけ、シワを伸ばします。(絶対に乾く前にアイロンをかけないこと)
- クリーニング: 雨ジミが心配な場合は、無理せずプロ(クリーニング店)に任せましょう。
【濡れた革靴の帰宅後ケア】
- 水分を拭き取る: まず、タオルで全体の水分と汚れを優しく拭き取ります。
- シューキーパーを入れる: 型崩れ防止のため、必ずシューキーパー(木製のものが湿気を吸ってくれてベスト)を入れます。
- 新聞紙はNG?: よく「新聞紙を詰める」と言いますが、インクが移る可能性や、形が崩れるリスクがあります。もし詰めるなら、真っ白な紙(キッチンペーパーなど)にするか、シューキーパーが最強です。
- 陰干し: スーツ同様、風通しの良い日陰で「立てかける」ようにして(靴底も乾かすため)乾かします。
- 完全に乾いたら: 乾くと革がカサカサになっているはずです。必ず「デリケートクリーム」や「靴クリーム」で油分と栄養を補給し、磨き上げてください。
- 仕上げ: 最後に、次の雨に備えて「防水スプレー」をかけておけば完璧です。
このアフターケアまでやって、初めて「雨の日の入学式を乗り切った」と言えるのです。
入学式が雨の日の場合の父親の服装ケアまとめ
最後に、雨の日の入学式を「最高の思い出」にするための要点です。
まとめ
・雨の日の入学式は、父親の「準備力」と「配慮」が試される舞台
・服装は「トレンチコート」や「ステンカラーコート」で大切なスーツを死守
・足元は「防水スプレー」と「ラバーソールの靴」で徹底的に対策
・持ち物は「吸水タオル」「靴下の替え」「傘用ビニール袋」が三種の神器
・会場では「水気を切る」「裏返して畳む」など、周囲への配慮を忘れない
・会場に入る前の「1分間の身だしなみチェック」で、ヨレヨレを回避
・帰宅後の「スーツと靴のアフターケア」までがミッション
雨の日の入学式は、確かに晴れの日よりも少し大変かもしれません。
ですが、こうして事前準備を万全にして、当日の振る舞いにも少し気を配るだけで、お父さん自身が濡れて不快な思いをすることもありません。
そして何より、雨という障害をものともせず、スマートに家族をエスコートし、ビシッとした姿で式典に参加するあなたの姿は、お子様や奥様の目に「雨なのに、うちのお父さん格好いいな」「頼りになるな」と、誇らしく映るはずです。
準備万端のあなたは、もう雨など恐るるに足らず。
どうぞ、お子様の晴れの日を、堂々としたビシッとした姿で、思い切りお祝いしてあげてください。
ご家族にとって、雨の音がBGMになるような、素敵で思い出深い一日になりますよう、心から願っています。