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いつもカバンに入れて持ち歩いている、信頼できる相棒のようなAnkerのモバイルバッテリー。
旅先でも、カフェでも、会議中でも、私たちの「スマホの命」を繋ぎとめてくれる、なくてはならない存在ですよね。
「あれ、なんだかケースが閉まりにくいな…」
「机に置いたら、カタカタとガタつくかも?」
「ズボンのポケットに入れたら、妙に存在感がある…?」
ふと手に取ったバッテリーが、いつものスリムな姿ではなく、まるでパンパンに膨らんだお餅のように、丸みを帯びていた…。
その瞬間に感じる、背筋が凍るような「ヒヤリ」とした感覚。
「え、うそでしょ…Ankerなのに?」
信頼していたからこその、小さな裏切りにも似たショックと、得体の知れない不安。
「これ、もしかして爆発するの?」
「発火したらどうしよう、カバンの中に入れてたよ…」
「ニュースで見るような火事になったら…」
そんな最悪のシナリオが頭をよぎり、パニックになってしまいますよね。
何を隠そう、私自身も以前、少し膨らみかけた古いスマートフォンのバッテリーを見て「大丈夫だろう」と使い続けようとした苦い経験があります。その時、ガジェットに詳しい友人から「それは火種を持ち歩いているのと同じだよ!今すぐ使用をやめなさい!」と、本当に真剣な顔で叱られました。
彼は続けて、「膨らんだバッテリーは、もう『充電池』じゃない。『いつ爆発してもおかしくない危険物』なんだよ」と教えてくれました。その言葉の重みが、今でも耳に残っています。
でも、安心してください。
この記事にたどり着いたあなたは、もう大丈夫です。
あの時の私のように、一人で不安を抱え込む必要はありません。
今、目の前にあるAnkerのモバイルバッテリーの膨張という「危険」なサインに対して、「今すぐ何をすべきか」「絶対に何をしてはいけないか」そして「どう安全に別れを告げるか(処分するか)」を、誰よりも分かりやすく、順を追って丁寧にご説明しますね。
この記事のポイント
・Ankerバッテリーの膨張は発火の危険があるため、すぐに使用中止
・膨張したら絶対に充電しない、ケーブルはすぐに抜く
・本体は絶対に穴を開けず、衝撃を与えない、冷やさない
・処分するまでは金属製の缶などに入れ、涼しい場所で一時保管
・自治体の燃えないゴミは絶対NG
・処分は家電量販店の回収ボックスかAnker公式の回収サービスを利用
・Anker製品でも経年劣化や使い方により膨張は起こりうる
Ankerバッテリー膨張は危険?発火する?今すぐやるべきこと
まず、読者のみなさんが一番知りたい「今、この瞬間、どれくらい危ないの?」という緊急性の高い疑問から、ハッキリとお答えします。
結論:すぐに使用を中止し、充電ケーブルを抜く
単刀直入に申し上げます。
モバイルバッテリーが膨張している状態は、「非常に危険なサイン」であり、「いつ発火・破裂してもおかしくない時限爆弾」を抱えているのと同じ状態です。
なぜ、あれほど硬いプラスチックのケースを押し上げるほど膨らむのでしょうか?
それは、内部に搭載されている「リチウムイオン電池」が劣化し、その結果、内部の電解液という液体が化学反応を起こして可燃性のガスを発生させているからです。
バッテリーの内部は、本来は酸素や水気が一切ない、厳密に管理された世界です。しかし劣化が進むと、そのバランスが崩れ、本来なら発生しないはずのガスが「プクー」と発生し始めます。
それが、あの膨らみの正体です。
それは例えるなら、「火気厳禁の火薬庫の中で、原因不明のガスが充満している」ようなもの。
この状態のバッテリーに、さらにエネルギー(充電)を加えたり、衝撃を与えたりすることは、その火薬庫に火のついたマッチを投げ込む行為に他なりません。
「Ankerだから大丈夫」という気持ちは、ここでいったん脇に置いてください。
まず、冷静になって、以下の行動を(もし当てはまれば)今すぐ実行してください。
1.もし充電中なら、すぐにケーブルを抜く「もったいないから満タンまで」「あと10%だけ」…絶対にダメです。
これ以上の充電は、内部のガス発生をさらに促進させ、最悪の事態へのカウントダウンを早めるだけです。ケーブルの根元を持って、そっと、しかし速やかにコンセントやスマホから引き抜いてください。
2.もし本体が異常に発熱しているなら、無理に触らない膨張と同時に、触れないほどの高熱を持っている場合。
これは危険度がMAXの状態です。無理に掴もうとせず、まずは周りに雑誌や布、カーテンなど、燃えやすいものがないかを確認し、安全な距離に移動させてください。
近くに水バケツ(これは消火用ではなく、万が一の延焼防止用)や、可能であれば砂(園芸用で構いません)が入った袋などを準備し、熱が自然に冷めるのを待ちます。
熱が冷めてから、ゴム手袋や乾いたタオル越しに、慎重に触るようにしてください。
3.膨張したバッテリーに触れても感電はしない?「ビリッときたらどうしよう」と不安になるかもしれませんが、バッテリーの外装が破損していない限り、触れただけで感電する心配は基本的にありません。
ただし、先ほども申し上げた通り、内部は非常にデリケートな状態です。
掴んだり、強く握ったり、ましてや落としたりしないよう、両手でそっと持ち上げ、赤ちゃんを扱うように、あるいは薄いガラス細工を運ぶように、丁寧に、丁寧に動かしてください。
「使用を中止し、充電ケーブルを抜き、そっと安全な場所へ移動させる」これが、あなたが最初に取るべき最も重要な、命を守る行動です。
【絶対NG】膨らんできたバッテリーにしてはいけない行動と一時保管方法
パニックになっている時ほど、人は「良かれと思って」間違った行動を取りがちです。
私たちが風邪を引いた時の「冷やせば治る」といった常識が、バッテリーの世界では真逆の「致命的な危険行為」になることもあります。
ここからは、あなたの安全を守るため、そして家族を危険に晒さないために、「絶対にやってはいけないこと」を強くお伝えします。
そして、安全に処分する日までの「正しい一時保管方法」を学びましょう。
やってはいけない危険な行動ワースト3
- 【NG】穴を開ける・分解する(ガスを抜こうとする)「ガスが溜まっているなら、針で穴を開けてガスを抜けば、元に戻るのでは?」海外の動画サイトなどで、面白半分にバッテリーに穴を開けるような動画を見たことがあるかもしれません。ですが、これは自殺行為です。絶対中の絶対に、ダメです!先ほど、内部のガスは「可燃性」だとお伝えしました。それだけでなく、リチウムイオン電池の内部素材(特にリチウム)は、私たちが呼吸している空気(特に酸素や水分)に触れると、激しく化学反応を起こし、即座に発火・爆発する極めて危険な性質を持っています。穴を開けるという行為は、この危険な素材と空気を「こんにちは」させる行為に他なりません。スズメバチの巣を、ガソリンを撒きながら棒でつつくようなものです。好奇心は、ここで完全に捨ててください。
- 【NG】冷やす・水につける(消火しようとする)「熱を持っているなら、冷蔵庫で冷やそう」「もし燃え出したら危ないから、今のうちに水につけておこう」これも、非常に危険な発想です。まず、冷蔵庫などで急激に冷やすと、バッテリー内部や表面に「結露」が発生します。この小さな水滴が、精密な内部の回路に入り込み、ショート(短絡)を引き起こす可能性があります。また、水に丸ごとつける行為も同様です。リチウムは水とも激しく反応しますし、水は電気を通すため、内部で予期せぬショートが発生し、かえって発火を促すことになりかねません。バッテリーの熱は、自然に冷めるのを待つのが鉄則です。
- 【NG】力を加えて元に戻そうとする(押さえつける)「まだ使えるかも」「ケースに収まるように」と、手でグイグイと押さえつけたり、机の角に押し当てたり、ましてや万力のようなもので挟んだりするのも厳禁です。バッテリーの内部は、プラス(正極)とマイナス(負極)が、「セパレーター」という非常に薄い膜だけで仕切られている、とてもデリケートな構造になっています。膨張した状態に力を加えると、この薄い仕切りが破れてしまい、プラスとマイナスが内部で直接接触(ショート)してしまいます。その瞬間、凄まじいエネルギーが一気に放出され、破裂や発火につながります。膨らんだ姿は、バッテリーからの「もう限界です、触らないで」という悲痛なSOSなのです。
一度膨らんだら元に戻らない【再利用は絶対不可】
「もったいないな…」
「Ankerの高いモデルだったのに、まだ1年半しか使ってないのに…」
「ほんの少し膨らんだだけだし、まだ充電もできる。このまま使っちゃダメかな?」
その気持ち、痛いほど、本当に痛いほど分かります。
私だって、数万円したスマートフォンのバッテリーが膨らんだ時、「なんとか元に戻らないか」とネットで検索しまくりましたから。
ですが、何度もお伝えして恐縮ですが、答えは「NO」です。
バッテリー内部で起きた化学変化は「不可逆」、つまり、元には戻りません。
一度焼いてしまったパンが、もう生地には戻れないのと同じです。
一度膨張したバッテリーは、たとえ一時的に充電ができるように見えても、安全装置が壊れた「暴走列車」のようなもの。いつ、どんな拍子に火を噴くか、誰にも予測できません。
あなたは、飛行機に乗る時、手荷物検査で「膨張したバッテリーは機内持ち込み禁止」と厳しく言われる理由をご存知ですか?
それは、上空の気圧の変化や揺れで、その「暴走列車」が暴れ出すリスクが地上より格段に高いからです。
そのバッテリーを使い続けることは、いつ発火するかわからない「小さな爆弾」を、あなたのカバンや、あなたの寝室、あなたの職場に持ち込むのと同じです。
あなたの家や大切な持ち物、そして何より、あなた自身やご家族の安全と引き換えにできるほどの価値は、そのバッテリーにはもう残っていません。
ここで、きっぱりと「ありがとう、さようなら」と決断することが、あなた自身を守る最も賢明な選択です。
処分するまでの安全な一時保管方法
では、安全に処分する日(例えば、週末に家電量販店に持っていく日)まで、その危険なバッテリーをどう保管すればよいでしょうか?
先ほど「安全な場所へ移動させる」とお伝えしましたが、その「安全な場所」とは具体的にどこなのか。
答えは、「万が一のことがあっても、被害が最小限で済む専用の隔離部屋で、静かに休んでもらう」ことです。
- 用意するもの(理想):
- 金属製の缶(蓋付きのお菓子の缶、海苔の缶など)
- 陶器の器(土鍋、素焼きの植木鉢など、燃えない素材の器)
- ガラス瓶(密閉できる広口のもの)
- (あれば尚よし) 消火砂、園芸用の土
- 保管場所の条件:
- 燃えやすいものがない場所(雑誌、新聞、カーテン、衣類、木製の家具から離す)
- 直射日光が当たらない、涼しく乾燥した場所(高温は厳禁)
- 家族(特に小さなお子さんやペット)の手が届かない場所
- 万が一の時に分かりやすい場所(棚の奥底や押し入れにしまい込むのはNG)
私のオススメは、「玄関の土間」や「ベランダの隅(直射日光が当たらず雨水がかからない場所)」です。
これらの場所は、燃えやすいものが少なく、涼しく、万が一煙が出てもすぐに気づくことができます。
具体的な保管手順:
- 膨張したバッテリーを、そっと金属製の缶や陶器の器に入れます。
- もし蓋があれば、爆発しないよう、密閉はせずに「そっと乗せる」程度にしておきます。(万が一のガス発生時に圧力がかからないようにするため)
- その容器ごと、先ほど決めた「安全な保管場所」へ置きます。
- 家族がいる場合は、「これは危険だから、絶対に触らないでね」と全員に周知徹底します。
ここまでできれば、ひとまず第一段階はクリアです。本当にお疲れ様でした。
膨張したAnkerモバイルバッテリーの安全な処分方法
さて、危険なバッテリーを安全に隔離できたら、次はいよいよ「正しい捨て方」です。
ここも、あなたの「社会的な責任」が問われる、非常に重要なポイントです。
絶対NG!自治体の「燃えるゴミ」「不燃ゴミ」
「これは、絶対に、絶対に、やめてください」
この見出しだけは、この記事で何度でも、声を大にして強くお伝えしたいです。
「もう使えないんだから、燃えないゴミでいいや」
「バッテリーって書いてある回収袋に入れたから大丈夫」
と、自治体(市区町村)のゴミ袋に入れる行為は、絶対にNGです。
なぜなら、あなたの手元を離れた後、そのバッテリーは「地獄」を経験することになるからです。
ゴミ収集車(パッカー車)の中で、他のゴミと一緒に「ギューッ」と圧縮された時。
ゴミ処理場の破砕機で、粉々に砕かれようとした時。
そして、焼却炉で高温にさらされた時。
その「衝撃」や「熱」が引き金となり、あなたの捨てたバッテリーが発火・爆発する可能性があるのです。
実際に、リチウムイオン電池が原因とみられるゴミ収集車や処理施設の火災は、今、全国で深刻な社会問題になっています。
ある自治体の清掃員の方は、「いつ爆発するかと、毎日ビクビクしながら作業している。これはゴミではなく『爆弾』の処理だ」と悲痛な声を上げていました。
私自身も昔、古い乾電池の捨て方が分からず、自治体のパンフレットを穴が開くほど見つめた経験があります。分かります、面倒ですよね。「どこに捨てればいいの?」と。
でも、あなた一人の「まあいいか」「バレないだろう」という行動が、私たちの生活を文字通り命がけで支えてくれている清掃員の方々を危険にさらし、地域全体を巻き込む大事故につながるかもしれないのです。
膨張したバッテリーは、「一般ゴミ」ではなく「特別危険物」です。
必ず、これからご案内する「正しいリサイクルルート」に乗せてあげてください。
選択肢1:家電量販店・ホームセンターの「回収ボックス」
これが、最も手軽で、現実的かつ安全な処分方法です。
あなたの街の家電量販店や一部のホームセンターなどには、「JBRC」という団体の「小型充電式電池リサイクルBOX」という黄色い回収箱が設置されています。
- 「JBRC」とは?「Japan Portable Rechargeable Battery Recycling Center」の略で、モバイルバッテリーなどに使われる貴重な資源(レアメタル)を、安全に回収・リサイクルするために活動している専門機関です。
- 主な設置場所:
- ビックカメラ
- ヤマダ電機
- ヨドバシカメラ
- エディオン
- ケーズデンキ
- ノジマ
- 一部のホームセンター や スーパー
- (お近くのJBRC協力店は、JBRCの公式サイトで簡単に検索できます)
処分手順:
- 絶縁する(重要!):まず、バッテリーのUSB端子(差し込み口)の部分に、セロハンテープやビニールテープを貼って、金属部分がむき出しにならないように「絶縁」してください。これは、輸送中に他の金属と触れてショートするのを防ぐためです。
- お店に持っていく:一時保管していた容器ごと、安全にお店まで運びます。
- 店員さんに相談する(最重要!):ここで、黙って回収ボックスに投函するのは待ってください。なぜなら、あなたのバッテリーは「膨張している」という特殊な状態だからです。お店のカウンターやサービス窓口にいる店員さんに、先ほどの一時保管容器に入れたまま、こう伝えてください。「すみません、モバイルバッテリーが膨張してしまったのですが、どう処分すればよいですか?」こう正直に事情を説明することが、何よりも大切です。恥ずかしいことでも、怒られることでもありません。むしろ、正直に申告してくれたあなたを「安全意識の高い、立派なお客さんだ」と思ってくれるはずです。店員さんはプロです。膨張したバッテリーの安全な回収方法や、専用の回収袋(耐火袋)の案内など、必ず適切な対応をしてくれます。回収ボックスへの投函は、必ず店員さんの指示に従ってくださいね。
選択肢2:Anker公式の「リサイクル(回収)サービス」
もし近くに回収ボックスが見つからない場合や、「やはり製造元に直接お願いしたい」という場合は、Anker公式のサポートに連絡するのも一つの手です。
ただし、Anker Japanの公式サイト(2025年11月現在)では、膨張・破損した製品については、「(Ankerも加盟している)JBRC加盟店(家電量販店など)の回収ボックス」を利用するよう、基本的には案内しています。
これは、Ankerが責任を放棄しているわけではなく、日本全国に張り巡らされた「専門の安全な回収ルート(JBRC)」を使うことが、社会全体として最も効率的で安全だと判断しているからです。
とはいえ、「どうしても近くに店舗がない」「どう対応していいか分からない」と困った場合は、迷わずAnkerのカスタマーサポートに連絡してください。
彼らは自社製品の「最期」まで、責任を持って見届けるプロフェッショナルです。
最も安全な処分方法を、あなたと一緒に考えてくれるはずです。
なぜAnker製品が膨らんできたのか?考えられる原因
「でも、あの信頼できるAnkerの製品が、なんで?」
「自分の使い方が悪かったんだろうか…」
危険なバッテリーを無事に手放す目処が立ったら、次にこんな「なぜ?」という疑問が湧いてきますよね。
この「なぜ?」をしっかり理解しておくことは、今後、新しいバッテリーと安全に、そして長く付き合っていくために非常に大切です。
主な原因は「経年劣化」と「使い方」
結論から言うと、膨張はAnker製品特有の欠陥ではなく、リチウムイオン電池という技術そのものが持つ「宿命」のようなものです。
どんなに高級な車でも、タイヤがすり減るのと同じですね。
主な原因は、大きく分けて以下の4つです。心当たりがないか、チェックしてみてください。
- 経年劣化(=寿命)これが最も多い原因です。モバイルバッテリーは「消耗品」です。一般的に、モバイルバッテリーの充放電回数(0%→100%を1回とする)の寿命は、約300~500回と言われています。もしあなたが「毎日欠かさず使って、毎日充電していた」としたら、365回ですから、1年~1年半で寿命を迎えてもおかしくありません。「3~4年、ほぼ毎日使っていた」という場合は、間違いなく寿命です。「今までありがとう」と感謝して、引退させてあげる時期なのです。
- 過充電・過放電(=バッテリーへの過酷な労働)バッテリーは、人間と同じで「ちょうどいい」状態を好みます。
- 過充電:満タン(100%)なのに、何日も充電ケーブルに繋ぎっぱなしにする。(特に、寝る前に挿して、朝までそのまま…というパターン)
- 過放電:カラカラ(0%)のまま、何か月も放置する。(「いつか使うかも」とカバンの底で忘れ去られている状態)これらはバッテリーにとって非常に大きなストレスとなり、内部の化学物質の劣化を急激に早めます。
- 高温環境での使用・保管(=サウナ拷問)リチウムイオン電池は、信じられないほど「熱」に弱いです。人間が快適だと思う温度(約25℃)が彼らにとってもベストで、45℃を超えるあたりから急激に劣化が進みます。
- 真夏の車内(ダッシュボードの上は論外、車内全体が危険)
- 直射日光が当たる窓辺
- 暖房器具(ストーブ、こたつ)のそば
- カバンの中で、スマホと重ねて充電(熱がこもる)
- 充電しながら動画視聴やゲーム(発熱+充電熱のダブルパンチ)これらはバッテリーにとって「灼熱のサウナ」に入れられるようなもの。内部の化学反応が異常に進み、膨張の大きな原因となります。
- 物理的な衝撃(=見えない内出血)「カバンに入れていただけなのに、落としたりしてないよ?」そう思うかもしれません。しかし、「大きな落下」だけが原因とは限りません。
- カバンの中で、鍵や水筒など硬いものと毎日ガツガツぶつかる
- ズボンの後ろポケットに入れたまま、何度も座るこうした日常の「小さなダメージの蓄積」が、目には見えないバッテリー内部のデリケートな構造(特にセパレーター)を傷つけ、そこから劣化が進んで膨張…というケースも少なくないのです。
Anker製品でも膨張は起こりうる
「でも、AnkerにはPowerIQとか、MultiProtectとか、色々な安全技術があるんじゃないの?」
はい、その通りです。あなたの認識は正しいです。
Ankerを「非常に優秀なシェフ」に例えてみましょう。
Ankerの安全技術(PowerIQ、MultiProtectなど)は、食材(電気)を最も美味しく(効率よく)、安全に調理する(制御する)ための、世界トップクラスの素晴らしい技術です。
温度管理も完璧ですし、異常があればすぐに調理をストップする安全装置も何重にも備わっています。
ですが、シェフがいかに優秀でも、使っている食材そのもの(=リチウムイオン電池)が、「時間が経つと必ず傷む(劣化する)」という根本的な特性を持っているのです。
Ankerの技術は、その「傷み」をできるだけ遅らせ、万が一傷み始めても火事にならないよう制御する「安全装置」は万全です。
しかし、「劣化そのものを完全に止める魔法」ではありません。
ですから、どんなに高品質なAnker製品であっても、寿命が来れば、あるいは先ほど挙げたような過酷な使い方(高温、衝撃など)をされれば、膨張するリスクはゼロにはならないのです。
「Ankerだから大丈夫」という「安全神話」を過信せず、「Ankerだからこそ安全に使える期間が長い」と正しく理解することが大切です。
Ankerの保証と他の製品に関するQ&A
最後に、残った「お金のこと」や「これからどうすれば?」という現実的な不安にお答えするQ&Aコーナーです。
Q. Ankerは保証期間外でも交換してくれる?
A. 保証期間内(通常18ヶ月や24ヶ月、最大30ヶ月)であれば、交換してもらえる可能性が非常に高いです。
そして、期間外であっても、諦めずに一度相談してみる価値は絶対にあります!
Anker製品の多くは、購入から18ヶ月(約1年半)や24ヶ月(2年)といった、業界でもトップクラスの長期間保証が付いています。(※Anker会員登録で延長される場合もあります)
もし、この保証期間内に膨張してしまった場合は、それは「経年劣化」というより「初期不良」や「製品個体差」の可能性が高いです。
Ankerのカスタマーサポートに連絡すれば、迅速に交換対応(新品送付と、古い製品の安全な返送・処分方法の案内)をしてもらえる可能性が極めて高いです。
問題は、「保証期間が1ヶ月だけ過ぎてしまった…」といった微妙なケースや、「もう3年使っている」という明らかな保証期間外の場合ですよね。
私個人の経験や、SNS(Xなど)で見かける「Anker神対応」と呼ばれる事例を総合すると、たとえ保証期間が切れていたとしても、「安全に関わる重大な事象(=膨張)」については、何らかの対応を真摯に検討してくれるケースが少なくありません。
もちろん、新品と無償交換…とまではいかないかもしれませんが、「次回の購入に使える割引クーポンを発行してくれた」「安全な処分方法を本当に丁寧に教えてくれた」といった、ユーザーの不安に寄り添う対応が期待できます。
諦めて新しい製品をポチる前に、まずは公式サイトのサポートページから、以下の情報を揃えて連絡してみましょう。
- 製品名(型番):本体の裏側などに小さく書いてあります。
- シリアルナンバー:同じく本体に記載されている「SN:」から始まる番号です。
- 購入日:Amazonや楽天の購入履歴で確認できます(だいたいでOK)。
- 不具合の内容:「膨張している」こと。
- 膨張していることが分かる写真:平らな机に置いた時の「ガタつき」が分かる写真や、ケースの隙間が分かる写真を添付すると確実です。
電話窓口(平日の日中のみ)もありますが、メールや公式サイトのフォームであれば、24時間いつでも送信でき、写真も添付できるのでオススメです。
Q. 他のAnker製品(バッテリーや充電器)も危険?
A. 今すぐすべてが危険になるわけではありません。ですが、これを機に「使い方」と「全製品の健康診断」をすることを強く、強くお勧めします!
「ひとつ膨張したら、ウチにあるAnker製品全部が危ないんじゃ…」
そう不安になってしまいますよね。お察しします。
でも、先ほどご説明した通り、原因は「製品」そのものよりも「使い方」や「経年劣化」にある場合がほとんどです。
今お持ちの他の製品は、以下の「予防法」を実践することで、安全に長く使い続けることができます。
【予防法】バッテリーとのお約束
- 「充電しっぱなし」をやめる:特に寝る前の「差しっぱなし」は今日からやめましょう。Ankerの比較的新しいモデルには「いたわり充電(80%で一旦停止する)」機能が搭載されているものもありますが、古いモデルや他社製品では過充電の原因になります。
- 「0%放置」をやめる:「いつか使うかも」というバッテリーも、3ヶ月に一度は取り出して、半分(50%)くらいまで充電してあげてください。過放電はバッテリーを深く傷つけます。
- 「熱い場所」を避ける:車内、窓際、こたつの中…これらは厳禁です。「充電中は熱くなる」という意識を持ち、風通しの良い場所で充電しましょう。
【健康診断】月に一度の「バッテリー点検デー」
そして何より大事なのが、これを機に「毎月1日は、家中のバッテリーを点検する日」と決めることです。
スマホ、タブレット、モバイルバッテリー、古いデジカメ、携帯ゲーム機…。
全部引っ張り出してきて、以下の「健康診断」をしてみてください。
- 平らな机で「ガタつき」チェック:机に置いて、指で軽く押してみます。カタカタとガタつくものは、膨張が始まっているサインです。
- ケースの「隙間」チェック:バッテリーの合わせ目を、爪でそっと触ってみます。以前より隙間が広がっていたり、一部分が浮いていたりしませんか?
- 充電時の「発熱」チェック:充電中に、触れないほど熱くなったり、異臭がしたりしませんか?
この「健康診断」で、膨張の「初期のサイン」に気づくことが、何よりの安全対策になります。
Q. 次に買うならどんなバッテリーが安全?
A. 今回の経験を活かし、「安全技術」と「メーカーの信頼性」で選びましょう。
膨張は怖いですが、モバイルバッテリーのない生活も考えられないですよね。
次に新しい相棒を選ぶ時は、以下のポイントをチェックしてみてください。
- 「PSEマーク」は絶対条件:日本の法律(電気用品安全法)で定められた安全基準をクリアした証です。これが無い製品は、そもそも日本で販売してはいけません。Ankerはもちろん全製品対応していますが、安価なノーブランド品は注意です。
- Ankerの最新の安全技術:Ankerは、今回の経験の原因かもしれない「過充電」や「発熱」をさらに厳しく監視する技術を、常に進化させています。例えば「ActiveShield 2.0」のような、温度をリアルタイムで監視し、異常があれば即座に制御する機能が搭載されたモデルを選ぶと、より安心です。
- 信頼できるメーカーとサポート:今回の膨張で、「いざという時に、ちゃんと対応してくれるメーカーか」がいかに重要か、痛感されたのではないでしょうか。Ankerのように、手厚い保証と、安全な処分方法までしっかり案内してくれる「信頼できるメーカー」の製品を選ぶことが、結局は一番の安全策になります。
Ankerモバイルバッテリーが膨らんできた時のまとめ
・Ankerバッテリーの膨張は、内部ガスによる発火の危険がある非常に深刻なサイン
・気づいたら即時使用中止、充電中ならすぐにケーブルを抜く
・「穴開け」「冷却」「圧力を加える」は、発火を誘発する最悪のNG行動
・安全な処分(リサイクル)までは、金属製の缶など燃えない容器に入れ、涼しい場所で一時保管
・一般ゴミ(不燃ゴミ)は絶対にダメ、清掃工場の火災の原因になる
・処分は家電量販店の「JBRC回収ボックス」が基本、ただし膨張の旨を店員に必ず相談
・膨張は経年劣化(寿命)や使い方(高温・過充電・衝撃)が主な原因
・Anker製品でも特性上、膨張リスクはゼロではない(だからこそ安全技術が重要)
・保証期間外でも、一度Ankerサポートに相談する価値は十分にある
・これを機に、手持ちの全バッテリーの「使い方」と「定期的な健康診断」を見直す
ここまで、非常に長い文章にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
いつもそばにあるモバイルバッテリーが膨張しているのを見つけた時の不安、心細さは、本当に大きかったと思います。
でも、この記事を最後まで読んだあなたは、もう「何をすべきか」を完全に理解しているはずです。
膨張してしまったバッテリーには、「今までありがとう」と感謝して、今日学んだ手順で、安全に別れを告げましょう。
そして、これを「知る」ことができた良い機会だと捉えて、あなたの手元にある他の大切なガジェットたちとも、安全で、賢い付き合い方をぜひスタートさせてくださいね。
あなたのデジタルライフが、これからも安全で豊かなものであることを、心から願っています。