季節のイベント

頻尿・子連れも安心!紅葉ハイキングでトイレが多いコース

 

秋の風物詩である紅葉ハイキング。

澄んだ空気と美しい景色を楽しみたい一方で、「途中でトイレに行きたくなったらどうしよう…」と強い不安を抱えていませんか。

特に冷えやすい秋口はトイレが近くなりがちですし、お子様連れの方にとっては「急なおしっこ」への対応や、山のトイレの清潔感も気になるところです。

本記事では、そんな「山でのトイレ不安」を完全に解消するために、トイレの設備が整っていて間隔が短い、安心のおすすめ紅葉ハイキングコースを厳選してご紹介します。

 

ポイント

  • 30分から40分間隔でトイレが設置されている安心の紅葉コースを厳選
  • 膝に優しい洋式や水洗など清潔で使いやすいトイレの有無を徹底解説
  • おむつ替えスペースがあるファミリー向けのハイキングスポットを紹介
  • 紅葉シーズンのトイレ大行列を回避するための具体的なタイミングを伝授
  • ペーパーの有無や小銭の準備などチップ制トイレ利用時の疑問を解消
  • 万が一の事態に備える携帯トイレや目隠しポンチョの活用術を紹介

※画像にはイメージも含まれます。

 

秋のハイキング、事前の「トイレ知識」で不安をゼロに

紅葉のハイキングでトイレが多いコースを選ぶことは、安心で快適な山歩きの絶対条件です。

しかし、コース選びと同じくらい重要なのが、山という特殊な環境におけるトイレのルールや、秋特有の体の変化に対する正しい知識を持つことです。

私自身も以前、事前の知識が全くないまま秋の山歩きに出かけ、途中で急な便意に襲われて大パニックになった経験があります。

次のトイレまであと何キロあるのかも分からず、ただひたすらお腹をさすりながら無言で歩き続けた時間は、まさに地獄でした。

あのような悲劇を未然に防ぐために、まずは秋の山に潜むトイレの罠と、その対処法について詳しく解説していきます。

 

秋特有の冷えと頻尿への対策

秋の山は、麓の駐車場や駅前では暖かく感じても、標高が上がるにつれて急激に気温が下がります。

一般的に、標高が100メートル上がるごとに気温は約0.6度下がると言われています。

さらに、木陰に入ったり、冷たい秋風に吹かれたりすると、体感温度はそこからさらに低くなります。

この「急激な冷え」こそが、秋のハイキングにおける最大の敵であり、頻尿を引き起こす直接的な原因なのです。

人間の体は、寒さを感じると体温を外に逃がさないように末梢の血管をギュッと収縮させます。

すると、行き場を失った血液が体の中心部に集まり、腎臓を通る血液量が増えることで、通常よりも多くの尿が作られてしまうのです。

まるで、冷房がガンガンに効いた映画館に座っていると、映画の途中でどうしてもトイレに行きたくなってしまうあの現象が、山を歩いている最中に起こるわけです。

この生理現象を防ぐためには、とにかく「体を冷やさないこと」が最優先となります。

そこで重要になるのが、登山の基本であるレイヤリング(重ね着)の技術です。

ハイキング中は汗をかきやすいため、肌に直接触れるベースレイヤー(下着)には、汗を素早く吸収して乾かす化学繊維やメリノウール素材のものを選んでください。

普段着ている綿(コットン)のTシャツは、汗を吸うと乾きにくく、濡れた生地が冷風に晒されることで一気に体温を奪う「汗冷え」を引き起こすため、山では絶対に使用してはいけません。

その上に、保温性のあるフリースなどのミドルレイヤーを着て、一番外側には風を防ぐウインドブレーカーやレインウェアを羽織ります。

歩いて体が温まってきたら上着を脱ぎ、休憩で立ち止まって風を感じたらすぐに上着を着る。

このこまめな体温調節が、結果的にトイレの回数を減らす最強の対策となります。

特に、お腹周りや腰を冷やさないように、薄手で保温性の高い腹巻きを活用するのは非常に有効なテクニックです。

私自身、秋の山に出かける時は必ずお腹にカイロを貼り、薄手の腹巻きを巻いていますが、これをするようになってからトイレの回数が劇的に減りました。

また、水分補給の選び方にも細心の注意を払う必要があります。

温かい飲み物を保温ボトルに入れて持ち歩くのは大正解ですが、中身がコーヒーや緑茶、紅茶などである場合は要注意です。

これらに含まれるカフェインには強い利尿作用があり、膀胱を刺激して尿意を催しやすくしてしまいます。

体を温めつつトイレのリスクを下げるためには、カフェインが含まれていない温かい麦茶、ルイボスティー、あるいは白湯(さゆ)を選ぶのがベストです。

「山頂で飲む温かいコーヒー」は確かに格別ですが、トイレの不安がある場合は、下山して安全な場所に着いてからのお楽しみに取っておくのが賢明でしょう。

さらに、出発前の食事にも少しだけ気を配ってみてください。

カリウムを多く含むバナナやみかんなどは、利尿作用を促進する働きがあります。

ハイキング当日の朝はこれらの果物を控え、お餅や温かいスープなど、体を温めてエネルギーになりやすいものを中心に食べることをおすすめします。

 

山のトイレは有料?チップ制の仕組みと必要な小銭

街中の公園や駅にある公衆トイレは、無料で使えるのが当たり前ですよね。

しかし、山岳地帯や自然公園の中に設置されているトイレの多くは、「チップ制(協力金制)」と呼ばれる有料のシステムを採用しています。

相場としては、1回利用するごとに100円から300円程度の金額を、入り口に設置された専用の箱に投入する仕組みです。

これを知らずに山へ行き、「たかがトイレにお金を払うなんて!」と驚かれる方も少なくありません。

なぜ山のトイレはお金がかかるのでしょうか。

それは、山という過酷な環境でトイレを維持管理するために、街中とは比較にならないほどの莫大な費用と途方もない労力がかかっているからです。

山の中には、当然ながら下水道のパイプは通っていません。

排泄物をそのまま山に流してしまえば、美しい清流は汚れ、貴重な高山植物は枯れ、悪臭が漂う死の山になってしまいます。

そのため、山のトイレでは、微生物の力で排泄物を分解する高価な「バイオトイレ」を設置したり、ヘリコプターや歩荷(ぼっか)と呼ばれる強力なスタッフが、タンクに溜まった汚物を麓まで人力で運び下ろしたりしているのです。

このヘリコプターのチャーター代だけでも、1回のフライトで数十万円という途方もない金額がかかります。

さらには、凍結を防ぐためのヒーターの電気代、トイレットペーパーを山の上まで運ぶ費用、そして清掃スタッフの方々の過酷な労働に対する人件費など、想像を絶するコストがかかっています。

私たちが快適に用を足し、美しい紅葉の景色をそのままの姿で楽しめるのは、こうした見えない努力と莫大な維持費のおかげなのです。

チップボックスに入れる100円玉は、単なる利用料ではなく、美しい自然を未来へ残すための「環境保護への寄付」だと捉えてください。

ここで絶対に忘れてはならないのが、「小銭の準備」です。

私自身も以前、山奥のトイレを利用しようとした際に、財布の中に1万円札しかなく、チップボックスの前で途方に暮れた経験があります。

山の中のトイレには、両替機などという便利なものは一切存在しません。

また、自動販売機もないため、お札を崩す手段が完全に絶たれてしまいます。

あの時の気まずさと、清掃スタッフの方への申し訳なさは、今でも胸をチクリと刺します。

紅葉ハイキングの計画を立てる際は、必ず出発前に自宅で100円玉を10枚程度用意し、財布とは別の取り出しやすい小さなポーチやポケットに入れておきましょう。

ご家族やグループで参加する場合は、その人数分と利用回数分の小銭が必要になります。

突然の雨で小銭が濡れてしまわないように、小さなジップロックや防水ポーチに入れておくとさらに安心です。

「お札しかないから、まあいいか」と素通りしてしまうのは、マナー違反であるだけでなく、ご自身の良心を痛めることにも繋がります。

たった数百円の小銭を事前に用意するだけで、心置きなく、そして堂々と山のトイレを利用することができます。

 

トイレットペーパーは持参すべき?

山のトイレに関して、もう一つよくある疑問が「トイレットペーパーは備え付けられているのか?」という問題です。

結論から申し上げますと、水に流せるタイプのポケットティッシュや、トイレットペーパーそのものの持参は「絶対に必要な必須装備」となります。

確かに、人気のハイキングコースや観光地化されている山のトイレであれば、管理が行き届いており、ペーパーが常備されているケースは多いです。

しかし、紅葉のハイシーズンともなれば事情は一変します。

普段の何倍、何十倍ものハイカーが押し寄せるため、清掃スタッフのペーパー補充が全く追いつかなくなってしまうのです。

行列に並んでようやく個室に入り、ホッと一息ついて用を足した後に、ふと横を見るとペーパーホルダーが空っぽだった。

想像しただけで血の気が引くような絶望的な状況ですが、秋の山ではこれが日常茶飯事のように起こります。

まるで、命綱をつけずに綱渡りをするような無防備な状態で個室に入るのは、あまりにも危険です。

そこで活躍するのが、自宅から持参したトイレットペーパーです。

ロールをそのままリュックに入れるとかさばるため、ちょっとした裏技をご紹介します。

まず、トイレットペーパーの芯を指でギュッと潰して、円筒形を平らにします。

そして、潰した芯をねじるようにして中心から引き抜いてください。

芯が抜けた中心部分からペーパーをするすると引き出せるようにして、ジップロックなどの防水機能があるチャック付きポリ袋に入れます。

最後にしっかりと空気を抜いて圧縮すれば、ポケットに入るほどのコンパクトサイズになります。

こうすることで、万が一雨が降ってリュックの中が濡れてしまっても、ペーパーがふやけて使えなくなるという最悪の事態を防ぐことができます。

この「芯抜き圧縮ペーパー」は、山歩きのベテランたちの間では常識となっている知恵です。

また、「普通のポケットティッシュでもいいのでは?」と思われるかもしれませんが、これは絶対にやめてください。

街で配られているような一般的なポケットティッシュや、アルコール成分の強いウェットティッシュは、水に溶けないように作られています。

これを山のバイオトイレや浄化槽式のトイレに捨ててしまうと、分解されずにそのまま残り、配管を詰まらせる原因となります。

さらには、ウェットティッシュに含まれる殺菌成分が、排泄物を分解してくれる大切な微生物を死滅させてしまうこともあるのです。

一つの詰まりが原因でトイレ全体が使用禁止になってしまえば、その後に続く何百人ものハイカーが地獄を見ることになります。

必ず、パッケージに「水に流せる」と明記されているティッシュやトイレットペーパーを使用し、環境や設備に負担をかけないよう徹底してください。

もし便座の汚れが気になる場合は、アルコールスプレーを少しだけ持参し、持ってきたトイレットペーパーに吹き付けて便座を拭き、それごと水に流すという方法が最もスマートで衛生的です。

 

トイレが多くて安心!おすすめの紅葉ハイキングコース5選

事前の知識と準備が整ったところで、いよいよ本題に入りましょう。

紅葉のハイキングでトイレが多いコースとして、自信を持っておすすめできる5つのスポットを厳選しました。

これらのコースは、単に紅葉が美しいだけでなく、「次のトイレまでの距離が短い」「洋式トイレが完備されている」「おむつ替えスペースがある」といった、読者の皆様のリアルな悩みに寄り添った設備が充実している場所ばかりです。

体力に自信がない方や、小さなお子様連れの方、そして何よりお腹の調子に不安を抱える方でも、心から安心して秋の絶景を楽しめる至極のルートをご紹介します。

 

1. 【東京都】高尾山(1号路):圧倒的なトイレ数と充実の設備

東京都八王子市に位置する高尾山は、ミシュランガイドで三ツ星を獲得し、年間を通じて世界中から登山者が訪れる超人気のスポットです。

日本一の登山者数を誇るだけあって、山の中とは思えないほどインフラの整備が完璧に行き届いています。

高尾山には複数の登山ルートがありますが、トイレの安心感を最優先にするのであれば、迷わず「1号路(表参道コース)」を選択してください。

このルートは、麓から山頂までほぼすべてが舗装されており、登山靴ではなく履き慣れたスニーカーでも安全に歩けるのが特徴です。

そして何より素晴らしいのが、メインルート沿いに等間隔で設置されたトイレの数々です。

麓のケーブルカー「清滝駅」の巨大なトイレを出発し、ケーブルカーに乗って中腹の「高尾山駅」に降り立つと、そこにも清潔なトイレがあります。

そこから歩き始め、浄心門をくぐり、樹齢数百年の杉並木を抜けて「薬王院」の境内に到着するまでの間、歩行時間にしてわずか30分から40分おきに、立派な水洗トイレが現れるのです。

山の中でこれほど短い間隔でトイレに駆け込める場所は、日本全国を探しても高尾山の1号路以外には見当たりません。

特に注目すべきは、山頂の直下にある「大見晴(おおみはらし)トイレ」です。

ここはなんと2階建ての巨大な施設となっており、個室の数が非常に多いため、紅葉シーズンのピーク時であっても行列の回転が驚くほど早いです。

もちろん、各拠点のトイレには洋式便座が完備されており、和式にしゃがむのが辛い膝や腰に不安のあるシニアの方でも、街中のデパートと同じような感覚で安心して利用することができます。

さらに、多目的トイレにはおむつ替えシートも設置されているため、赤ちゃん連れのファミリーにも強くおすすめできます。

「ママ、おしっこ!」と子供が急に言い出しても、「もう少し歩けばすぐトイレがあるからね」と笑顔で対応できる安心感は、何物にも代えがたい魅力です。

薬王院周辺の燃えるようなモミジのトンネルや、山頂から望む富士山と紅葉のコラボレーションを、何の不安もなく心ゆくまで堪能してください。

途中の茶屋で売られている天狗焼やごまどころ団子など、美味しいグルメを安心して楽しめるのも、トイレ事情が完璧な高尾山ならではの特権です。

 

2. 【東京都】御岳山(ロックガーデン周遊):山の中なのに洋式完備

次にご紹介するのは、同じく東京都青梅市にある御岳山(みたけさん)です。

古くから山岳信仰の霊山として栄え、山頂付近には今でも宿坊が立ち並ぶ集落が存在するという、非常に特殊な環境を持つ山です。

人が生活している集落があるということは、すなわち上下水道のインフラが驚くほど整っているということを意味します。

これが、御岳山が「トイレ安心マウンテン」と呼ばれるゆえんです。

アクセスも非常に手軽で、麓の「滝本駅」からケーブルカーを利用すれば、標高831メートルの「御岳山駅」まで一気に登ることができます。

当然ながら、麓の駅にも山上の駅にも、清掃の行き届いた清潔なトイレが完備されています。

ケーブルカーを降りてから、武蔵御嶽神社へと続く風情ある参道を歩く間も、ビジターセンターや商店街の周辺に公衆トイレが設置されており、頻尿に不安がある方でも全くストレスを感じません。

私自身も以前、膝を痛めていて和式トイレにしゃがみ込むのが非常に辛かった時期があるのですが、御岳山のトイレは洋式が整備されている場所が多く、本当に救われた思いがしました。

そして、御岳山の紅葉ハイキングのハイライトとなるのが、「ロックガーデン(岩石園)」と呼ばれる周遊コースです。

大小さまざまな苔むした岩と、清らかな渓流、そして頭上を覆う見事な広葉樹の紅葉が織りなすコントラストは、まさに息を呑む美しさです。

本格的な大自然の奥深くへと入り込んでいくようなコースですが、なんとこの中間の休憩スポット(綾広の滝近く)にも、環境に配慮した立派なバイオエコトイレが設置されているのです。

「こんな山奥に、しかも洋式トイレがあるなんて!」と、初めて訪れた人は必ず驚きの声を上げます。

大自然のど真ん中で洋式トイレの便座に座れるというギャップは、都会のオアシスを見つけたような深い安堵感を与えてくれます。

紅葉の圧倒的な美しさと、トイレ事情の良さを見事に両立させた、知る人ぞ知る極上の穴場スポットと言えるでしょう。

ハイキングの後は、昔ながらの宿坊が営む食事処で、温かいお蕎麦や山菜料理をお腹に優しくいただくのも素晴らしい体験になります。

 

3. 【大阪府】箕面公園(箕面大滝ルート):高低差が少なくおむつ替えも安心

関西エリアで紅葉とトイレの安心感を求めるなら、大阪府の「箕面(みのお)公園」が圧倒的なナンバーワンです。

阪急電鉄の箕面駅から、日本の滝百選にも選ばれている名瀑「箕面大滝」まで続く約2.8キロメートルの遊歩道は、関西屈指の紅葉名所として知られています。

ここは本格的な山登りというよりは、渓谷沿いに整備されたなだらかな舗装路を歩く「お散歩感覚のハイキング」に最適なコースです。

名物の「もみじの天ぷら」をかじりながら、燃えるような渓谷美を堪能することができます。

このコースの最大のメリットは、遊歩道に沿うようにして、驚くほど細かく公衆トイレが整備されている点にあります。

駅を出発してすぐの一の橋周辺、見事な紅葉が広がる箕面公園昆虫館の近く、コースの中間地点である修行の古場、そして最終目的地の箕面大滝の目の前と、等間隔にトイレが配置されているのです。

高低差が少なく道幅も広いため、ベビーカーを押しての散策も全く苦になりません。

そして何よりファミリーに嬉しいのが、途中のトイレにはおむつ替えができる多目的スペースがしっかりと用意されていることです。

赤ちゃん連れのパパやママにとって、外出先での「うんち漏れ」や「おむつ替えのタイミング」は最大のミッションです。

箕面公園のルートであれば、お子様がぐずったり、おむつのサインを出したりしても、5分から10分ほどゆっくり歩けば次のトイレに駆け込むことができます。

周囲の目を気にしながら野外でおむつを替えるという過酷な状況を避けられるため、ハラハラしながら歩く必要がありません。

また、ご高齢の方にとっても、アップダウンが少なくトイレが常にあるという環境は、心臓や足腰への負担を大きく軽減してくれます。

途中のベンチで座って休憩を挟みながら、黄金色や真紅に染まった木々を見上げる時間は、日々の疲れを癒やしてくれること間違いなしです。

秋の冷涼な空気の中、三世代の家族全員がリラックスして紅葉狩りに没頭できる、これ以上ないほど優しいコースです。

 

4. 【茨城県】筑波山(山頂連絡路):ケーブルカー利用で常にトイレが近くに

「西の富士、東の筑波」と称され、日本百名山の中で最も標高が低い(877メートル)ことで知られる茨城県の筑波山。

ここもまた、アプローチの工夫次第でトイレの不安を完全にゼロにできる、素晴らしい紅葉スポットです。

筑波山は男体山と女体山の二つのピークを持つ双耳峰(そうじほう)ですが、麓の神社から自分の足で登る本格的な登山道には、途中にトイレがありません。

そこで提案したいのが、登山道をあえて避け、ケーブルカーやロープウェイを利用するという「裏技」的なコース設定です。

麓の宮脇駅からケーブルカーに乗車すれば、一気に標高を上げ、山頂付近の広場である「御幸ヶ原(みゆきがはら)」まで約8分で到着します。

秋のシーズンには、ケーブルカーの車窓からライトアップされた紅葉を楽しむ「ナイトクルージング」も開催され、非常にロマンチックです。

そして、この御幸ヶ原には、レストランや売店とともに、非常に規模の大きな公衆トイレが完備されています。

清掃が行き届いた清潔な洋式トイレが複数用意されており、どれだけ冷たい風に吹かれても、すぐに駆け込める安心感があります。

紅葉を楽しむ際は、この御幸ヶ原の巨大トイレを「絶対的なベースキャンプ」として位置づけ、そこから男体山と女体山を繋ぐ「山頂連絡路」を散策するスタイルをおすすめします。

片道15分程度のなだらかな道のりでありながら、見事なブナやミズナラの色づきと、眼下に広がる関東平野の雄大な絶景を見下ろすことができます。

歩いている間も、「振り返れば数分で立派なトイレに戻れる」という心理的な担保があるため、お腹の調子が心配な方でも、恐怖を感じることなく大自然の空気を胸いっぱいに吸い込むことができます。

まるで、設備の整った大きなサービスエリアの裏庭を散策しているような気軽さで、日本百名山の本格的な紅葉を満喫できる、非常にスマートで安心な楽しみ方です。

山頂からのパノラマビューを楽しんだ後は、麓の温泉に立ち寄って冷えた体を温めるのも、筑波山ならではの醍醐味です。

 

5. 【長野県】上高地(大正池〜河童橋ルート):目的地ごとに綺麗な環境配慮型トイレ

最後にご紹介するのは、日本が世界に誇る山岳リゾート、長野県の上高地です。

標高1500メートルの高地に位置する上高地は、カラマツの黄金色の黄葉と、雪化粧をした穂高連峰、そしてエメラルドグリーンに輝く梓川が織りなす「三段紅葉」が楽しめる、まさに奇跡のような場所です。

アルプスの大自然が広がっているように見えますが、ここは国の特別名勝・特別天然記念物に指定されており、観光地としての整備が完璧に行き届いています。

おすすめのルートは、入り口である大正池でバスを降り、田代橋を経て、中心地である河童橋へと向かうフラットなハイキングコースです。

木道が整備されており、高低差はほとんどないため、登山靴ではなくスニーカーでも全く無理なく歩くことができます。

この上高地ルートの特筆すべき点は、約40分から1時間歩くごとの拠点となる場所に、必ず環境配慮型の非常に綺麗なトイレが設置されていることです。

大正池周辺、美しい湿原が広がる田代橋の分岐、そしてレストランやお土産屋が密集するバスターミナル(河童橋周辺)と、ハイキングの目的地となる明確なチェックポイントごとにトイレが現れます。

これにより、歩きながら「次の田代橋まであと20分くらいだから、そこでトイレに行こう」といった具合に、明確なペース配分とトイレ計画を立てることができ、精神的な余裕が生まれます。

上高地のトイレは、自然環境を守るためのチップ制(1回100円程度)が徹底されていますが、その分、洋式トイレが多く、清掃スタッフの方々のたゆまぬ努力によって非常に清潔に保たれています。

紅葉シーズンの上高地は朝晩の冷え込みが厳しく、霜が降りるほど気温が下がりますが、完璧な防寒着とこの素晴らしいトイレ配置があれば、頻尿の方でも心ゆくまでアルプスの絶景を堪能できるはずです。

透き通るような川のせせらぎを聞きながら、圧倒的なスケールの黄葉の中を歩く時間は、一生の思い出になることでしょう。

 

紅葉ハイシーズンの「トイレ大行列」を回避するコツ

さて、ここまで紅葉のハイキングでトイレが多いコースをご紹介してきましたが、一つだけ立ちはだかる大きな壁があります。

それは、秋の行楽シーズン真っ只中における「想像を絶する大混雑」です。

人気の紅葉スポットでは、週末ともなれば何万人ものハイカーが一斉に訪れます。

いくらトイレの設備が整っていても、利用する絶対数がキャパシティを超えてしまえば、当然ながら長蛇の列が発生します。

特に女子トイレの混雑は深刻を極め、人気の山では個室に入るまでに30分以上待たされることも珍しくありません。

女性は重ね着をしているため着脱に時間がかかり、さらに個室の数自体が限られていることが、この渋滞の大きな要因となっています。

冷たい風に吹かれながら30分も立ち尽くしていれば、膀胱の我慢は限界を超え、大惨事を引き起こしかねません。

そこで、この絶望的な行列を賢く回避するための具体的なマニュアルをお伝えします。

 

混雑する時間帯と「個室が多いトイレ」の把握

トイレが大混雑する時間帯には、ハイカーの行動パターンに基づいた明確な「ピーク」が存在します。

第一のピークは、電車やバスで到着した人々が一斉に歩き始める【午前9時から10時頃】の登山口周辺のトイレです。

第二のピークは、頂上や目的地に到着し、お弁当を食べたり休憩したりする【11時半から13時頃】の山頂付近のトイレです。

そして第三のピークは、下山を終えて帰路につく前の【15時頃】の麓のトイレです。

この「魔の3大ピーク時間帯」に真正面から突っ込んでいくのは、自ら渋滞に巻き込まれに行くようなものです。

行列を回避する最大のコツは、このピーク時間を戦略的にずらす「オフピークハイク」を実践することです。

例えば、少し早起きをして午前7時台に歩き始めれば、登山口のトイレも待ち時間ゼロでスムーズに使えます。

そして、山頂での昼食の時間を11時前か、あるいは14時以降にずらすことで、頂上のトイレの大行列を回避できます。

私自身も、お弁当を広げる前にお腹が空いていてもグッと我慢し、あえて混雑していない少し離れた大きなトイレに立ち寄り、すっきりとした気分で絶景ランチを楽しんだ経験が何度もあります。

人間の生理現象は完全にコントロールすることは難しいですが、「食事の前にトイレを済ませる」のではなく、「空いている時間にトイレに行き、それに合わせて食事をとる」という逆転の発想が、快適なハイキングの秘訣です。

また、事前に「個室の数が多い拠点トイレ」を調べておくことも非常に重要です。

ハイキングコースの途中にある小さな仮設トイレは個室が1から2個しかないことが多く、前に並んでいる人が手間取ると、列が全く進みません。

それならば、少し足を伸ばしてでも、ケーブルカーの駅やビジターセンターなど、個室が10個以上あるような巨大なトイレを優先して使うべきです。

事前にガイドブックやスマートフォンの地図アプリで、「ここは大きなトイレ」「ここは小さなトイレ」とマークをつけておき、大きなトイレをベースキャンプとして行動する計画を立てれば、待ち時間という名の恐怖から解放されます。

どうしても並ばなければならない時は、列に並んでいる間に足踏みをしたり、肩甲骨を回したりして体を温め続ける工夫も忘れずに行ってください。

 

万が一の「最悪の事態」に備える必須アイテム

どんなに完璧にトイレの場所を把握し、混雑を回避する完璧なタイムスケジュールを立てていたとしても、自然の中では何が起こるか分かりません。

前日に食べたものが悪かったり、急な冷え込みでお腹の調子が急変したりと、予期せぬトラブルは誰にでも起こり得ます。

「もしも今、この瞬間にどうしても我慢できなくなったらどうしよう…」という強迫観念に近い恐怖心は、せっかくの美しい紅葉の記憶をどんよりと曇らせてしまいます。

そんな最悪の事態に備え、持っているだけで心が軽くなる「最強の防衛装備」をご紹介します。

 

携帯トイレと目隠しポンチョの活用法

どうしてもトイレがない場所で限界が来てしまった場合の最終手段として、「携帯トイレ」の持参を強くおすすめします。

高速道路の渋滞時などに車内で使う簡易的なものを想像されるかもしれませんが、山の中で使用する場合は選び方にコツがあります。

山にはゴミ箱が一切ないため、使用後の汚物は自分のリュックに入れて自宅まで持ち帰る必要があります。

そのため、100円ショップの安価なものではなく、登山用品店で売られている、医療用素材を使った防臭性が非常に高い携帯トイレを選んでください。

これらは尿を瞬時にゼリー状に固める強力な凝固剤が含まれており、ジッパーを二重にしっかり閉めれば、リュックに入れて満員電車に乗っても絶対に臭いが漏れません。

そして、携帯トイレと必ずセットで用意していただきたいのが、全身をすっぽりと覆い隠すことができる「目隠しポンチョ」です。

いくら携帯トイレを持っていても、他のハイカーが行き交う登山道の脇で、人目にさらされながら用を足すことなど羞恥心が邪魔して絶対に不可能です。

しかし、黒やカーキ色などの目立たない色の大きめのポンチョを頭からすっぽりと被り、登山道から少し外れた木の陰でしゃがんでしまえば、外から見れば単に座って休憩しているか、雨具を着て身を潜めているようにしか見えません。

ポンチョの内部は完全にプライベートな空間となるため、その中で携帯トイレを使用すれば、誰にも知られることなく窮地を脱することができます。

いざという時に慌てないよう、自宅の部屋の中で一度ポンチョを被り、携帯トイレを広げる練習をしておくことをおすすめします。

ポンチョのファスナーの開け閉めや、しゃがんだ時のバランス感覚などを掴んでおくだけで、本番での焦りをなくすことができます。

私自身、これまで幸いにも山の中で携帯トイレのお世話になったことは一度もありません。

しかし、リュックの底にこの「携帯トイレとポンチョのセット」が入っているという事実だけで、「いざとなればいつでもどこでも用を足せるのだ」という強烈な安心感が生まれ、トイレに対する不安が嘘のように消え去りました。

これは一種のプラシーボ効果のようなものかもしれませんが、精神的なお守りとしての効果は絶大です。

使う機会がないまま無事に下山できるのが一番ですが、わずか数百円で買える絶対的な心の平穏として、ぜひ紅葉ハイキングの装備に加えてみてください。

使用後は、絶対に山に放置したり、普通のゴミ箱に捨てたりせず、ご自宅に持ち帰って各自治体のルールに従って処分するというマナーも必ず守ってください。

 

紅葉ハイキングにおすすめのトイレが多いコースまとめ

 

まとめ

  • 紅葉のハイキングでトイレが多いコースを選ぶことが安心で快適な山歩きの第一歩
  • 秋の山は冷えやすいため重ね着で体温を調節し頻尿を防ぐことが重要
  • 維持管理に費用がかかる山のトイレでは100円玉などの小銭の用意が必須
  • 補充が追いつかない場合に備えて水に流せるポケットティッシュを必ず持参する
  • 高尾山や御岳山など設備が充実し洋式トイレも完備された安心のコースを選ぶ
  • 箕面公園など高低差が少なくおむつ替えスペースがあるコースは家族連れに最適
  • 混雑ピークの時間をずらし個室の多い大きなトイレを優先して使う戦略が有効
  • 防臭性の高い携帯トイレと目隠しポンチョを持参すれば精神的なお守りになる
  • 事前の知識と万全の準備があればトイレの不安なく最高の紅葉を楽しむことができる

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